聴こえないわたし 聴こえるわたし ~ことば&暮らし~

それぞれの「ことば」を「知ること」からはじめよう
by machi-life
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第10回(2009.04.24)  "ふたりの出会い" 

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由

    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。


"聴こえないわたし”-Chie
東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

"聴こえるわたし”-Mau
“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き 


♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆

Chie: こんにちは、暖かくなってきたり少し寒くなったり今が季節の変わり目ですね。

Mau: こんにちは。 本日もよろしくお願いします。花冷えとは言え、寒すぎです~。爽やかな初夏はもうすぐそこなのですが。
今日は、春風吹く季節にふさわしく、ちえさんとの初めての出会いについてお話してみたいと思います。

Chie: 初めての出会い、みなさんにとってもどうやって出会ったのかなと少しくらいは不思議に思ってくれているはず?(笑)

Mau: 初めてちえさんにお会いしたのは、勉強会だったと思うのですが。あれは去年の初夏でしたでか?

Chie: そうですね。講師の為の勉強会として開かれましたね。あの日は岩手と宮城県の地震で
東京駅で新幹線が止まっていました。予定の新幹線がなかなか来なかったので目の前に止まっている新幹線に乗るべきか迷ったのを覚えています。
確か、少し遅れて行きましたよね?


Mau: そうでしたね!思い出しました。

Chie: ぎりぎり着いたので新潟駅で待ち合わせていた方に飛ばして(?)もらいました(笑)。あのとき、地震の影響で新幹線が新潟まで行けるのかどうか、確認したかったのですが東京駅では駅員さんもばたばたしていて、周りに聞きにくい状況でした。
たぶんアナウンスはあったと思いますけど。


Mau: そういった災害時は、どうやって情報を集めるんですか?

Chie: 携帯電話で検索したり、テレビを見ている友人に聞いたり、隣に立っている人に聞いたりします。
その時は直感に頼ってそのまま、目の前に止まっている新幹線に乗りました。


Mau: 自分の直感を信じれるって簡単なようで難しいことだと思います。今は携帯電話があって便利ですね。そんな苦労をしていただいて新潟まで来ていただいたんですね~
ありがとうございます。

Chie: 無事に行けて良かったです、ありがとうございます。直感は不思議だと思います。
初めてお会いしたときは講師の勉強会では、最初に血液型のゲームをしましたね。


Mau: 私も起業して1年という時期でしたが、「講師の心構え」というタイトルをいただいて驚いたことは良く覚えています。お互いに、周りにはいないやり方で動いている者同士ということで、役目を務めさせていただきました。そうですね、第一印象ゲームの中に血液型も入ってましたね。

Chie: 第一印象ゲームでしたね、そのときに参加していた他の講師が時々手話指導に取り入れています。まうさん、とても慣れている方でぜひ教えてもらいたいなぁって思っていました。これも直感でした。

Mau: いえいえ、とんでもない。見事にだまされましたよ、ちえさん!頭は真っ白、身体はブルブルでしたからね。

Chie: ええ〜だまされたんですか、でもそんな風には見えなかったです〜
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Mau: 確かあの頃は、Hさんたちも試行錯誤されていた時期だったと思います。「手話=ボランティア」という概念をくつがえして、他の語学講師同様、プロ手話講師という職を確立していく!という確固たる目標を掲げて本格的に活動を始動されていましたね。

私自身は、いわゆる試験対策を一方的に教える「英語塾」ではなく、お互いに普段の日本語で行っているコミュニケーションを、英語に置き換えられたら楽しいだろうなあ!・・・という発想で起業しました。

「英会話教室=ネイティブ講師&指定教材」が大多数を占める業界の中で、それがその人自身のベストスタイルであれば、それが一番だと考えていますが、そのスタイルはどうやら自分には合わないと感じる人にとっては、もっと他の方法も試すことができたらと以前から感じていました。

どちらがいい悪いと言っているのではなく、それぞれに適した選択肢があれば、よりその人らしく学ぶことができるのではと思っています。

約1年があれからまた過ぎましたが、去年とは違うステージにいることを感じています。
一生懸命もがいてきた日々があったら、見えてきたことがありました。「終わることのない旅」の途中ですが、真剣なお付き合いから生まれる日々の中で見える生徒さん自身の日々の気持ちの変化、状況の変化に合わせて、「講師」のペースで引っ張るだけでなく、時にはゆっくり休みながら学んでいく時間を知りました。
もちろん、時には息詰まって生徒さんと一緒に「!どうしましょう!?」となることもありますが、それでも向き合っていると、ヒントがおぼろげに見えてきます。

Chie: ありがとうございました。そういった背景があったことまでは知らなかったです。ネイティブではできない方法、この点はすごく興味があります。
去年は手話講師を担ってまだ1年足らずだったため、手話を教える前に、講師としての役割は何なのかをきちんと考えたいと思っていましたので勉強会の内容を聞いた瞬間、飛びつきました。

その頃は、手話を教えることばかり頭にあったと思います。学ぶ立場のことを考えるべきという重要なことを、この勉強会で、ハッとさせられました。教えたいことを教えるのはどうか、と考えさせられました。いくら、ネイティブとはいえ、話せることと教えられることは違うのだと実践を通して体感し始めた時期だったので、
まうさんのお話を聞いてさらにその体感が言葉としてつながりました。まだまだ自分は学ぶべきことがたくさんあると実感できました。
講師として行き詰まりを感じていたとき、まうさんの資料で初心に返る想いがしました。
手話と英語の言語は違っていて、講師として言語を教える立場は同じであることを前提に勉強することができました。


Mau: ギャー、赤面してしまいますが、みんな大体同じようなところで悩むものだということで、考えるヒントにしていただければうれしいです。

勉強会のときの出来事で忘れられないことがあります。
皆さんの緊張を解きほぐすために取り入れた、いくつかの問いの中の1つに、「あなたの好きな音楽は何ですか?」がありました。
そのときに、Iさんから「オペラとミュージカルの違いは何ですか?」とにこにこと質問されたのは衝撃的でした。
他の聴者の方々の言葉もお借りして、違いについて説明をしようと頑張ってみましたが、できませんでした。ちえさんには、「音楽は聴いたことがないので分かりません。でも踊ることは好きです。」と言われたと記憶しています。内心、してはいけない質問をしてしまったのではとハラハラしました。

ちょうどこの頃は、ろう者や難聴者の方々と知り合い以上になり始めた頃ですね。たった一年程前のことですが、あの時はいろんなことを聞いてみたいけれど、「気を悪くしたりしないかな?」と心配になって、目の前にいる皆さんに直接疑問をぶつけずに、ろう者の方が書かれた本などを読み漁りました。でも、読めば読むほど分からなくなってきて・・・ある方に胸のうちをお伝えしたところ、「ろう者でもみんなそれぞれ違いますからね~」といとも簡単にお答えしていただいて、拍子抜けしたというか。同時に、バリアーを頭だけで考えようとしていたことに気づきました。無意識ではありましたが、私がろう者の方々と自分の間に線を引いていたのだと思います。それから、いろんなことが随分と楽になりましたし、分からないことは私だけで考えないで、すぐに聞くことにしました。

Chie: 音楽の話について、あまり気に留めていませんでした。でも確かに音楽のことを聞かれるとあまり良く知らないから答えられないというのはありますね。最近、マンツーマンで音楽の魅力、楽しさを教えてくれる方がいて、今までの音楽に対するバリアを壊して、純粋に音楽とは何だろうと少しずつ興味がわいてきました。
たぶん、勉強会の時は「音楽なんてあまり好きじゃない」という気持ちでした。Iさんの質問、私もオペラとミュージカルの違いを説明せよと言われたら、正直ちょっと分からないです。
オペラと言えば、オペラの座の怪人というイメージがあり、ミュージカルはサウンドオブミュージックのイメージが頭の中に浮かぶ感じです。



Mau: 私にとっては、いかに日常的に、言葉にできないことを耳に頼って生活しているのだろうかということを身体で感じる時間でした。終わった後は、ものすごーく普段は使わない機能を使ったように感じて脱力しましたね。気持ち良かったです。今私が教えている会話を中心とした語学は、音に頼って教えているものです。音があるから教えられるとも言えますね。
何度も会話練習を行いながら口と耳で身体にしみこませる練習をします。以前のお話にも出ましたが、ろう者の方々が、どう外国語を学習(定着)されているのかもっと教えていただきたいと思うようになりました。

ところで、ちえさんに音楽の楽しさを教えてくださる方は、どんなことをちえさんに言われているのですか?

Chie: 手話のレッスンで「手話で歌を歌いたい」という方がいました。歌詞を見ながら手話を教えている途中で 「この歌詞はこういう意味ではなくて、別の意味がある」ということを教えてもらって歌を通して日本語の奥深さを垣間見ました。
今までは「歌なんて分からないから関係ない」とあまり興味を持たないようにしていました。手話歌、手話ソングといいますが、手話ソングが嫌いなろう者はいます。というよりも、手話ソングが好きだというろう者はかなり少ないんじゃないかなとも思います。でもその割、車の中に音楽を流している人もいるので手話ソングは嫌いだけど音を楽しむのは好き響き(振動)を楽しむのは好きなのかもしれないですね。私もそれに近いです。


Mau: なるほど~。振動や響き・・・いわゆるリズムを楽しまれているのでしょうか。太鼓を習っている方もハンズのメンバーの中にいらっしゃいましたよね。

Chie: そうですね。逆に、聴こえる方にとっての音楽の楽しみ方ももう少し知りたいですね。

Mau:私は教室に来ると、まず珈琲を入れるのですが、同時にその日の気分によって音楽をかけて楽しんでいます。
朝は、元気の出るような音楽、それこそ振動を感じるようなビートの強いものが好きです。お客様がいらっしゃっているときも、音楽をたいてい流していますが、あえて習われている言語とは異なる言語の音楽を選んでみたり、クラシシックをかけることが多いです。一人で変な踊りを踊っていることもありますね(笑)。見せられませんが。

ちえさんはどう音を楽しんでいらっしゃいますか?

Chie:変な踊り、見てみたいです(笑)その日の気分によって音楽をかけて楽しむということは、服を選ぶような感覚と似ているでしょうか。音は振動として響きを心地よく楽しみます。映画を見るとき、映画館の方がいいと思う時がありますが、音楽を身体で感じることができる場だからだと思います。響きで音を楽しんでいます(微妙な違いまではまだ分からないですが)。
他のろう者からはまた違った意見が出てくると思いますので、将来的にはいろいろな方からのご意見をお伺いしてみたいですね。


♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆

今日は記念すべき第10回となりました。私たちにとって「あれ〜?もう第10回!?」と本日になって気がつきました。

いつも読んでくださって本当にありがとうございます。
そして、コメントを残してくださる方や感想を直接お話ししてくださる方がいて本当にありがとうございました。

これからも様々なテーマを取り上げていきますので今後ともよろしくお願いいたします。

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by machi-life | 2009-04-24 15:00 | mau+chie life

第9回 (2009.4.17) ”言葉の尺を通わせる”

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由

    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。


"聴こえないわたし”-Chie
東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

"聴こえるわたし”-Mau
“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き 

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Mau:こんにちは~。時差ぼけは治りましたか?

Chie:治りましたが、なぜか寝不足気味です。でもおかげさまで元気に生活できています。そういえば、Mauさんの地域は野菜が美味しいんですよね。

Mau:北区には産直市場がたーくさんありますよ。

Chie:栄養不足になったらMauさんの地域に行きますね。

Mau:あはは~(笑) 北欧の食事はどうでしたか?

Chie:毎朝決まったメニューでした。パン、チーズ、ヨーグルト等。

Mau:北欧ならではのお菓子とかはありました?

Chie:フィンランドで子どもにプレゼントされたお菓子がありますが、せんべいみたいな大きさで味があまりないんです。

Mau:こどもせんべい?でもフィンランド人は好きだから食べているんでしょうね。

Chie:そうですね。他にも、フィンランド人がバーの前でタバコを吸っているのをよく見ました。

フィンランドにそんなイメージが全くなかったのでびっくりしました。寒い夜にずっと吸いながら雑談している姿を見て、あらためて日本のことをより知る機会になリました。


Mau: 今日も北欧での体験を交えながらお話をお聞かせくださいね。

Chieさんもお話していらっしゃいましたが、「手話は世界共通の言語」と思っている方は多いと思います。
私自身、実は手話に興味を持って調べて知るまでそう思っていました。ちょっと想像を働かせればすぐに、そんなわけはないって分かるはずなんですけどね!

北欧でもそれぞれの国に、フィンランド手話、ドイツ手話・・・などあると思います。細かい話になれば通訳を介さなければいけないと思いますが、日本手話ができるとあちらのろう者の方々ともちょっとした日常会話は通訳に頼らずともできるものでしょうか?

Chie: 北欧研修旅行で講義を受けるとき、ほとんどは音声言語の通訳と手話通訳が協力し合って進められていきました。
講師がろう者であれば、ろう者の参加者には多少伝わりますが、専門的な話になれば通訳を介さないと講義の内容を理解することはほとんど困難です。

講師がろう者であれば、フィンランド手話→フィンランド語→日本語→日本手話

フィンランド手話からフィンランド語に通訳する人、フィンランド語から日本語に通訳する人、日本語から日本手話に通訳する人で、一つのレクチャーにつき、最低3名は必要になります。


Mau: わお!伝言ゲームのようですね。フィンランド手話 ⇔ 日本手話へと直接通訳することは難しそうですね。それとも今回は、聴こえる参加者のためにあえて「日本語」を介しているのでしょうか?

Chie: 聴こえる参加者もいましたので、フィンランド手話⇔フィンランド語⇔日本語⇔日本手話、と、国際手話⇔日本手話⇔日本語という通訳の流れもありました。
国際手話というのは、世界レベルの会議等で使われる手話のことを指すのですが、まだ国内でも浸透していない手話です(「手話が世界共通」とは違うことなので後日に詳しく触れたいと思います)。

実際、1時間以上の講義を一人の通訳者が担うのは相当な労力になりますのでフィンランドの通訳者3名、日本人通訳者2名が臨むことが多かったです。
音声言語間(フィンランド語⇔日本語)は一人だけで担っていました(本当はもっと人材が必要なのですが、人材不足?なのか、当日はひとりだけでした)。


Mau: 通訳の方は、現地に住むプロの通訳士の方ですか?

Chie: フィンランド人の通訳者はどういう資格を持っているのかについては把握していないですが、現地のろう者の反応を見ると信頼を置いていたことと、ろう者との会話が円滑に進められていたのでプロであることに間違いはないです。
海外の手話通訳で、資格がいくつかあると聞いたことがあります。日本はプロと言えば「士」の範囲になりますが、音声言語の場合はどうでしょうか?
音声言語間の通訳で、通訳士という言い方(制度)があるかどうかについて、手話の場合は、「手話通訳者」「手話通訳士」という言い方がありますが、国家資格としては「通訳士」のみです。


Mau: 日本の場合、語学(音声言語)に関係する唯一の国家資格は、国土交通省が管轄している「通訳案内士試験」のみだと思います。
ただし、これは「海外から日本を訪れる方々への日本国内の観光通訳」がメインになります。それ以外の分野や、それら全部を含んだ「通訳技能を判定」する国家資格は存在しないようです。通訳として活躍されていらっしゃるほとんどの方が民間の通訳学校で学ばれて、そこから段々と仕事の幅を広げていく・・・と聞いています。
補足情報ですが、私が憧れている同時通訳者・鳥飼 玖美子さんが会長を務める、日本通訳翻訳学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jais/ というものもあります。

Chie:初めて知りました。アメリカの場合、手話通訳の資格がランク分けになっていると聞きました。
フィンランドでもアメリカのようにランク分けされた資格があるかどうか把握できていないですが、講義の間に通訳をされた方は現地のプロの方だと思います。


服装も北欧ではおしゃれ(ラフ)な格好をしていました。日本の手話通訳者は「その場にあった服装」といってもたいていは手話の見やすさにより紺色か黒色だったりします。あまり派手な柄があると目がちかちかして手話が見にくいことや、手話通訳者が目立ってはいけないという背景があるみたいですが、
私としてはもう少し個性といいますか、おしゃれな方がいいと思っています。実際に、おしゃれな通訳士はいます。
これが手話通訳の現状ですが、音声言語間の通訳はどうでしょうか?服装に関するモラル等決められていることはありますでしょうか?


Mau: 服装に関して言えば、・・・私は普段の生活でフォーマルな洋服を着ないので、スーツを着ると「よし!」と気合が入る方です(笑)。
普段愛用しているのは、黒いパンツスーツですが、デザインに凝ってみたり、中に着るインナーで個性を出すようにしています。また、ピアスをカラフルなものにしてみたり、お客様に差し上げるかもしれないメモ帳、お貸しするかもしれないペンなどを少し変わったものにしています。

でも例外もあります。外国からのお客様をおもてなしするために、県外の名所を巡ったことがありますが、このツアーにはカジュアルな服装で行きました。スーツじゃ浮いちゃいますから。
相手側からドレスコードを指定されない限り、露出をしすぎないことと清潔感を保っていれば何か言われたことはないように思います。本来の業務以外のことで、必要以上にうるさく言う方も中にはいるようですが、幸いにも私はそういう方とはお会いしたことはありません。手話通訳の世界は違うのでしょうか?

Chie:手話通訳の場合、地味すぎるところがあります。いろいろ言われた結果として、地味な方が無難と判断されたのかもしれないですが、中には結婚式に臨むときに
雰囲気等の情報を事前に集めて臨む方もいます。

そういえば、今回同行した通訳者は日本人ですが、二人とも英語に堪能な方でした。
時折、講義する人が英語で話す時、日本人通訳者は英語をそのまま聞いて手話に置き換えていました。
その二人に、頭の中の作業は「英語⇔日本語⇔日本手話」なのか、「英語⇔日本手話」なのかを聞いてみたところ、二人とも、後者であることが分かりました。日本語に置き換えている場合ではない、という理由も聞きましたが、英語から日本手話にそのまま置き換えられること自体、私にとっては新鮮でした。 (そのまま置き換えられるの意味は、単語をそのまま手話にあてはめるというのではなくて、意訳ができるという意味合いです。言葉足らずですみません)
このような頭の中の作業は、音声言語間の通訳経験者から見れば「普通のこと」でしょうか?


Mau: 私の場合ですと、やはりChieさんが会われた通訳の方のように、英語⇔日本語をそのまま置き換えていると思います。
ただただ素直に頭の中に言葉を通して、またくるっと向きを変えて訳すべき言葉が頭の中をフル回転するとそのまま出てくる・・・と言ったら、機械のようですし出来すぎですね(笑)。
もちろん、事前に準備をしていて、普段からも机上でも実践でも学んでいるのですが、言葉は生き物ですから、その人がどんな性格の人で、どんな言葉を使ってくるかというのは本番にしか分からないスリリングさはあるでしょうね。

私が想像する、プロの通訳と言われる方々の頭の中は、コンピューターでいうCPU(情報処理能力)が非常に正確かつ早いというイメージです。
その方たちの基盤になっているのは、高い母国語運用能力と、それと同等の通訳しようとしている言語力と文化的背景は不可欠だと思っています。
同時に、ほとんど無意識ですが、自分の中の母国語フィルターは通ってきているのだろうなあ・・・と漠然とですが確かに感じています。自分の持っている母国語力以上に、外国語力を上げることはできないだろうという想いからです。表現の幅は、何か比較するものがあってこそ、より生きてくると考えています。

特に、日本語⇔英語(又はスペイン語)という、私が現在扱うことの多い言語は、構造も、文字も、それを使用する民族、文化も、全て大きく異なります。
比較的土地も近く、語学上では親戚関係にあると言われる、例えばイタリア語⇔スペイン語といった言語の通訳をする時以上に、違いを意識して訳す必要があるのではと思ってます。

また、日本語は自分をへりくだって言ったり、湾曲表現の多い言語ですから、西洋の方に通訳するときにはそれをニュートラルに戻して伝えるようにしています。自己流なので、通訳のプロ(実務経験10年以上が目安)と言われる方々には、違うと言われてしまうかもしれません。

通訳は機械ではないので、「クライアントが私を通訳に雇うことで目的にしていること」が何かをはっきりさせて仕事をするとなると、ある程度その言語を使う人の背景は考えざるを得ません。ですから、日本語が母語で、いつか私が英語⇔日本手話をすることになったときに、自分がどうリアクションするのかは興味深いですね。
まだまだ手話は私の身体に“落ちていない”言語なので、想像することしかできませんが、手話を学び始めて、英語と手話の類似性も感じます。この辺りは、ビギナーの勘止まりで、詳しくご説明できませんが。

Chie: 英語と手話ができる通訳者はたぶん日本国内では少ないと思います。もし、まうさんが手話通訳士をとったら通訳に関する知識もあり、その言語を使う人の背景を考える立場としてとても心強いですし、研修旅行の通訳同行も可能ですね。最近のろう学生(ろう者の大学生)は海外へ研修旅行に出かけるようになりました。前にもドイツへ研修旅行に出かけたろう学生が、英語ができて日本手話もできる通訳者がいて本当に助かったという話を聞いたことがありました。

Mau: お役に立てる日が来ると嬉しいですね~。
Chieさんたちとの出会いによって、手話は身に付けたい言語の1つになりました。遠い目標に「手話通訳士」を置いて、楽しく手話勉強に励みま~す。

Chie: また、北欧では自分が手話通訳をやる場面に遭遇しました(通訳と言えるレベルまでほど遠いですが、通訳をしないといけない状況になりました)。
たまたま、現地の研究者(ろう者)がランチのときに同じテーブルに座ったので、アメリカ手話とジェスチャー交じりに話をしたところ、何とか通じました。しかし、その周りにいた参加者(同行者)は「???」の表情をしてこちらを見ていました。通訳してと頼まれて、通訳をしてみました。
最初は同じテーブルにいる人たちとも話の内容を共有できて良かったのですが、次第に、参加者からの質問や研究者の受け答えを通訳しているともどかしさを覚えました。「こういう意味ではなくてもう少し深く聞きたいんだけど、それにフィットする言葉が頭にない!」「知識があっても、それに対応する言葉がない!」というもどかしさです。
英語力があれば、筆談で英語を書いて伝える方法もあったのですが、その英語力さえもない私にとってお互いの手話は違えど、共通言語の一つである英語が使えないことが悔しかったですね。


Mau: 確かに、「これってなんて言うんだろう?」と言葉がすぐに出てこないときはもどかしいですね。

そんなときは、自分自身に「すなわち?言い換えれば?」と問いかけてみたり、相手の方に「たとえば、こんなことですか?」と例をあげてみると、いつのまにか話が軌道に戻ることは多いようです。

最近はろう者の方々に、英語やスペイン語を教えさせていただきたい欲が芽生えてきました。
まだ準備はできていませんが、Chieさん、将来は実験台になってくださいね!

Chie:実験台第一号としてお引き受けします(笑)スペイン語、大学時代に学んだことがあるのですが挫折してしまいました。 母語(日本語)としての知識を持っていても、英語や他の言語に置き換えられる語学力を持っていないと知識さえ伝えることも難しいと実感しました。語学力というのは、知識に対応したその国の言葉を使う力にも関わっていると思いました。例えば、手話でいえば、医療従事者が医学に関する知識を持ち、手話でもその知識を使えるようになって初めて手話の力があると言えるのだと思いました。
手話通訳は本当に大変な労力であると実感したのですが、その分、通訳がボランティアと見られてしまう現実があることは悲しいことですね。まうさんも通訳のご経験があるとお聞きしましたが、音声言語間の通訳でもボランティアと見なされるのでしょうか?


Mau: おっしゃられる通りだと思います。音声言語間の通訳でも、手話通訳のようにボランティア(無償)で行うこともあります。

また、「私はまだまだだから、ボランティアでしか英語の通訳はできないよ」という友達もいます。それはその人自身の選択で良いと思っています。

私の場合は、現在のように「語学」を使って仕事をしていないときはボランティア通訳を頼まれることが時々ありました。でも語学を看板に掲げてからは、安易にボランティアでお願いされることはないと認識しています。つながりで、最初はボランティアで引き受けることがあっても、仕事内容に満足していただければ次からは支払っていただくこともあります。ただ、ボランティアであれ、有償であれ、一度引き受けたらベストを尽くすということはいつも心がけています。自分の価値は自分で決める・・・って言い切りたいところですが、こればかりはお金を支払ってくださる相手がいることですからね~ :)。「あなたの通訳じゃあ、ボランティアでしょ!」と言われないように頑張ります。何もかも一期一会ですね、本当に。

Chie:今回の北欧での通訳経験から、まうさんとこのように通訳についてお話ができて本当にとても良い経験をさせていただきました(私の通訳を使っていた人には、情報量が少なすぎて本当に申し訳ないですが・・・)。

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北欧の話から通訳の話について、それぞれの体験を織り交ぜながらの展開になりました。

次回もどんな展開が待ち受けているか、ご期待ください。
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by machi-life | 2009-04-17 10:21 | mau+chie life

第8回 (2009.4.10) “デフハウスってなあに?”

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由
    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。


"聴こえないわたし”-Chie
東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

"聴こえるわたし”-Mau
“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き

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Mau: いよいよ新学期ですね。季節柄、ふらりと遊びに来ててくださる方が増えました。

Chie: ふらりと訪ねて下さる方がいると楽しくなりますよね。新学期でいつもよりバタバタしていますが、新潟市の桜は今日から咲くそうですね。

Mau: 早速ですが、今日はChieさんが気になった北欧での出会いについて教えていただきたいと思います。

Chie: フィンランドでは、世界ろう連盟理事長のヨキネン氏という方の講演を聴きました。ヨキネン氏はろう者ですが、複数の言語を勉強してきた方で 「ろう者だから夢を諦めるのはもったいない。自分ができるというイメージを常に描いておくべき」とメッセージを出していたことが強く印象に残っています。「聴こえないから無理なんじゃない?」と思う学生さんも、参加者の中にいたのですごく刺激になったと思います。

世界ろう連盟理事長 ヨキネン氏(特別インタビューに答えていただきました)

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Mau: ヨキネン氏の複数言語学習法が知りたいですね。「聴こえないから無理」と考える学生さんにとっては勇気を与えてくれたでしょうね。

Chie: 複数言語学習法について、常に本を読み、周囲にある情報をすぐに関連づけて言葉を覚えていったという話がありました。ただ、かなり忙しい方でしたので講演が終わるとすぐに仕事に戻っていた為、十分に聞けなかったのが心残りです。

このヨキネン氏の講演から思ったことは、大学生は先輩との関わりを持つことはあっても、社会で働く社会人の話を聞く機会が日本では少ないような気がしました。ロールモデルがないからこそ、不安に揺れやすいのかなとか、常に日本のこと、自分の体験の範囲ですが、日本と比較しながらフィンランド、スウェーデン、ドイツを回っていましたね。

Mau: 日本ではいろんな意味で「年齢」を意識しすぎる傾向にあるようです。

Chie: 大学生といえば、20代というイメージが強いのもその表れですね。スウェーデンのオレブロ大学でも、子どもを連れてランチしている学生がいました。本人の話によれば仕事を辞めた後、勉強しているとのことでした。

Mau: ちえさん自身がロールモデルを求める時期もありましたか?

Chie: 学生時代は強く求めていました。聴こえない人はどうやって周りとコミュニケーションをとるのだろう、が一番の関心事でロールモデルを求めていました。参考にしたかったんだと思います。

Mau: 見つかりましたか?

Chie: 見つかったような見つからなかったような。そのときに、100%真似をすればいいわけではなく、いろいろな生き方を参考にして自分なりの色を出していく事に気がつきました。そういう意味では、ロールモデルはいました。

先輩と語りながら、時には怒られましたが、いろいろな先輩を見ているうちに「自分だったらどうするのか?」と考えられるようになりました。
でも、これは幸い、ろう者の先輩が多く在籍していた大学だったからこそできたことだと思いますし、ほとんどの学生は他団体の活動に関わったり知り合いのつながりで先輩と出会いながらロールモデルを見出すと思います。

でもヨキネン氏のように複数の言語を持ちながら世界レベルの組織で働いている人と出会う事は、なかなかない機会なので私も本当に、人と人が接するときのコミュニケーション面で参考になったところがあります、初対面の人に対しての挨拶や、講演を進める時の方法、質問の受け方について参考になりました。


Mau: 自分にはない部分を持つ誰かと出会うから、じゃあ私はどうなのよ?と比較しつつ考えることができるのでしょうね。いつも側にいる身近な人から、世界中で、国境なんて軽々と越えて働いている人もいる。そんな人たちに出会うと、自分は今此処で何をしようとしてるんだ?って考えざるを得ない。そんな時期がきっとみなさんにあるのでしょう。素敵な人に会うとその人を真似てみたくなったり。

ちえさんも「日本に持ち帰りたい、自分にも取り入れたい」素敵な習慣、言葉などにたくさん北欧で出会われたでしょうね。

Chie: そうそう、「すてきだな、この人」と思う人と出会うと真似をしたくなりますね。北欧では同じ日本人の方からも刺激を受けました。

中でも一番印象強かったのは、ドイツで出会った日本人でした。ドイツに留学した後、ハンブルク大学の手話研究員になっている人でした。ドイツ手話ができる聴者だったので、なおさら「悔しい」というか、驚きました。こういう人もいるんだ〜と感心して、ますます関わりたくなりました。


Mau: よっぽどその人自身に何か特別なものがないと雇われない職場環境ですよね。

Chie: まだ働き始めたばかりと聞きました。
そうですよね。たぶん、その人自身にしかない物があるのだと思います。
初めて会った時は話しにくいと思ったのですが、実家が近いことが分かった後お話しする事ができました。


Mau:これからの展開が期待される出会いをされたんですね。

さて、さまざまな国で、いろんな立場のろう者や難聴者の方に会われたと思います。現地の方々から、ちえさんたち、日本からの研修者に対して投げかけてきた問い、逆にちえさんたちが、興味や関心を持って質問したことの中でどのような内容が心に残っていますか?

Chie: 研修先で出会ったろう者たちは、世界規模の組織の役員から地域の高校生といった、幅広い年齢層と関わりました。
中には、ロシアからの移民もいました。投げかけれた質問についてですが、高校生からは軽く日本の文化(漫画、趣味)に関する質問がありました。特に印象に残っている質問ですが、レクチャーの後に「日本の場合はどうなの?」という質問があったことですね。例えば、フィンランドでデフハウスといった場の説明があったとき、「日本にもこういう場所はあるの?」という質問でした。日本のことをどのくらい知っているかを問われる質問で、幸い、手話関係の仕事の経験で比較することができましたが、学生さんにとってはたじたじだったかもしれません。


Mau: 日本の学生ということですか?全国のろう者同士のネットワークは盛んではないのですか?

Chie: 学生=今回参加された日本の学生です。全国のろう者同士のネットワークについて、学生同士の集まりはありますが、今回の参加者はその集まりの非会員(入っていない、もしくは興味がなかったり情報がなかったり)でした。

Mau: なるほど、興味が無ければ情報源も限られてしまいそうです。

Chie: 今回の参加者は特に非会員が多かったです(会員もいました)。

Mau: 他にはどんな質問がありましたか?

Chie: 現地の方から質問されることは少なかったように思います。こちらから質問をして答えを聞いてはまた聞くという展開でしたね。
参加者の中に起業をした人がいたのですが、デフハウスの管理者に対して、「運営はどのようにやっているんですか?」と質問したことが一番印象に残っています。
学生でしたら「デフハウスいいなぁ、作りたいな」という感動で終わりましたが、その人は「なぜ運営ができるのか」と最後まで聞いていました。ビジネスをやっている以上、当然の質問ですが、手話講師をやっている今、その人の質問にすごく共感できました。


Mau: なぜ、「デフハウス」を良いと思いましたか?変な質問に感じだらごめんなさい。私の中ではまだイメージできていないみたいです。

純粋に疑問なのですが、日本にも、公民館やら福祉会館から、ハンズさんの事務所・・・場所という「箱」ならたくさんあるような気がします。どういった違いが、デフハウスと日本にあるそれではない物にあるのでしょうか?

Chie: たぶん学生さんたちが「良い」と思った理由としては、一つの家に感じたからなのかもしれないです。
アットホームで、そこに行けば必ずろう者の仲間がいるという安心感が持てる「場」としての憧れです。福祉会館にある聴覚障害者協会の場はどこか入りにくそうなイメージがあります。

フィンランドで見たデフハウスはそういったイメージがなく、一つの家族みたいに生活しているように見えたからこそ、憧れたのだと思います。(フィンランドでも実態は分からないですが)


Mau: 「自分たちで自主的に」というよりも、「さあ、ここを用意したから使いなさい。ただしこちらが決めた規則は守ってもらうし、活動はしてもらうよ」という日本によくありがちな(イテッ!)イメージでしょうか。

フィンランドのデフハウスとは、大きく活動目的が違うようですね。ちなみに聴覚障害者協会はろう者の方々が運営されているのでしょうか?フィンランドのデフハウスは、好きなときに、好きなことをするために(しなくても)、個人がただそこに誰に気兼ねをすることなく存在することのできる場所なのかな?

Chie: そんな感じですね。聴覚障害者協会は聴者とろう者が一緒に運営していますが、場所によっては「聴こえる方にお任せ」があるかもしれないです。デフハウスがオープンしている時はいつでも入って良いという雰囲気は感じました。

Mau: ちえさんもデフハウスは日本に必要だと思われますか?

Chie: 日本にデフハウスは必要か?と聞かれますと、ちょっと違うような気がしています。デフハウスというよりも、ろう者だけが集まるのではなくて、聴者も気軽に入れるような場が必要ですね。

Mau: ろう者の方々にとって、ゆったりと集える公の場所は少ないのでしょうか?

Chie: ろう者が集まる場、例えば手話サークルがありますが、今は聴こえる人たちの楽しむ場になっていることがあり、ろう者にとっての楽しみがなくなり、サークルに行きたがらない人も多いです。
学生にとっては、全日本ろう学生懇談会という組織でお互いを高め合っていますが、社会人にとってのくつろげる場といったらほとんどないかもしれないですね。

聴こえる人たちとの関わりが持てるから必要としない人が増えているのか、それとも、たまたまそういう場がないだけなのか、私自身も社会人ですが、よく考えてみれば「ここに行けばろう者、聴こえる人たちと大人の話ができる場」といったら限られると思います。


Mau: でもそれは聴こえる人も同じかもしれませんよ。

Chie: 手話が認識されていなかった時代と比べて、手話が少しずつ知られたり携帯電話やパソコンの発展、そして聴こえる人たちと一緒に教育を受ける環境の中で、「聴こえる人たちとの関わりを持てる」ようになったと思います。一昔のろう者と比べて今の若いろう者にとっては、そこまで集える場所を必要としなくなったのか、必要と思っても「ない」から仕方ないのか。。。

デフハウスに憧れるのは単純に、アットホームで気軽に交流ができる場が欲しいという憧れであり、そういう場がないことの表れなのでしょうか。


Mau: 2月末に、現役大学生や専門学校生の方々と一緒に勉強会をしました。その際に少なくない人数の学生が、「携帯で話は全部しちゃうから、実際に会うと話すことがなかったり、本音が言えなかったりする」と言っていました。

彼らがそれを良しと思っているのであれば、携帯チャットやメールもコミュニケーションの促進に役立っていると思うのですが、いざ対面して会話をするときには携帯で感じていた「親近感」のようなものが不足していると感じるのは、なんだかなあ・・・と。
でもそれって最初の気付きなんじゃないかって思いますね。「便利な」ものに対して疑問を感じることは、正しいセンサーが働いている証拠なんじゃないかって思ってます。

近くにいて、直接話ができるのにも関わらず、大事なことは携帯で・・・というスタイルは本当に自分が望んでいるコミュニケーションの形なのだろうか?・・・と。
日本でデフハウスについて考えるときも、そこへ集う私たち自身にも表面的ではない、何かしらの決断や挑戦に迫られそうですね。

Chie: そうですね。時代の背景といったら何だか寂しいですが、きっかけがあれば必ず変わると思います。かつての自分も、それに近く、今思えば「なぜもっとはっきり言えなかったのかな」と時々思います。その理由を根本的に考えると結局は傷つきたくないというわがままなのかもしれないですし表面で仲良くやっていれば何とかなるという変な安心感に頼っていました。

でも社会人になって特にハンズを通して、はっと気付かされました。
建設的な話し合いができる喜びとか、ぶつかりあって信頼関係を作ることの経験がない限り、携帯電話での会話に満足。その一方で、コミュニケーションって何だろう?と見つめ直すのは希望が持てますね。


Mau: そう思います、人間、そうこなくっちゃ!考える頭を活用しないと~(笑)

Chie: ですよね。 人間らしい生活をしなきゃいけないですね〜。
今回の旅行で、 「考えることをやめたら、本当にダメになる」と思いました.


Mau: その心は?


Chie: 一緒に参加した学生さんたちとの話で「そういうことにこだわらず、どうでもいいじゃない」という態度にカチンと頭に来たんですけれどそれは、「考えることをやめちゃいけない!」と思ったからなんですね。


Mau: そんなことが北欧であったんですね。外との出会いの他にも、内なる出会いが。

Chie: 13日間を共にするメンバーなので一人一人と話をすることがとても良い刺激になりました。

Mau: ですよね~・・・みんなそれぞれ目的も違うでしょうし、単純に「わーい北欧旅行!」で来ている人もいるでしょうし・・・。

Chie: そうですね、そうです。

Mau: このブログ、みなさん見てるかな?

Chie: 見ていてくれたら嬉しいです。私の意見に間違いがあるかもしれないし、学生さんなりの意見も貴重なのでこのブログを読んで、何かを感じ取っていただけたら嬉しいです。学生さん、教育関係者、社会人や手話通訳者との出会いによって、あらためて考えることの大切さに気付かされましたし、きちんと向き合えば学生さんも可能性を秘めていると分かりました。

Mau: そうそう、同じタイプの人たちといても、居心地は良くても刺激は受けない。「なに~??!!なんだと~!」というところから、始まってますよ、私の場合何事も(笑)。手話場合もそうですもん。新しい可能性を、わたしもちえさんたちからいただいています。

Chie: ありがとうございます。私もまうさんとこうして話をするたびに自分の考え方を整理できたり、まうさんに言われることで「そういえば、どうなんだろう?」と新しい視点を知ることができます。
旅行中、学生さんに厳しいことを言い続けていたら、最終日に「ありがとうございます」と言われました^^;本当は考えれば、できる人なのでどうやって育てていくかが私としての課題だなと思いました。同時に、自分自身も育てなきゃいけないですね。


Mau: ちえさん、かっこい~い!ヒューヒュー!!

Chie: Wow !ありがとうございます(笑)

Mau: 葛藤しつつ、それもまたいいか、いやだめじゃないか?と肯定も否定も繰り返しつつ、傍らに友が居てくれたら嬉しいですね。これからもよろしくお願いします。

Chie: ありがとうございます。かなり揺れる私ですが、これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

<参考HP>

Nordic Deaf Associations
http://www.sdrf.se/sdr/dnr/ENG/index.html

Scottish Sensory Centre
http://www.ssc.education.ed.ac.uk/courses/deaf/finland.html
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by machi-life | 2009-04-10 08:50 | mau+chie life

第7回(2009.04.03)Chie、北欧から無事に帰国

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由
    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。


"聴こえないわたし”-Chie
東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

"聴こえるわたし”-Mau
“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き

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Mau: おかえりなさい!どうでしたか?二回目の研修旅行は?

Chie: 最初の研修旅行よりも冷静に見ることができたと思います。
今回の研修旅行ではそれぞれの国で手話とろう教育関係に携わっている大学やろう学校、関係者の話を聞きましたが、 どの国も人工内耳の話が多く出ていました。 人工内耳が進んでいることによって手話での教育がこれから変わるのではないかという意見や、ろう者が減ってしまうのではないかという話もありました。 一方で、手話の研究は進んでいましたので、多少そのギャップを感じていました。


Mau: 人工内耳について、もう少し詳しく教えていただけますか?
誰にでも可能な手術なのでしょうか。また、その結果どの程度聴こえるようになるのでしょうか?

Chie: 人工内耳は、聴力が軽度であれば効果が出てくる可能性が高くなります。
重度であればあまり効果はないです。
ただ、手術を受ける年齢にも関係があり、 医学の世界では早ければ早いほど手術をした方が早く対応できるという見方になっていますのでろう者を生んだ親御さんに対して人工内耳をすすめています。 なお、人工内耳は頭の中に機会を埋め込むものなので スポーツや生活上の制限はあります。 また、一生メンテナンスが必要になるので生活上のリスクを伴うことになります。


Mau: Chieさんが今回廻られた国々では、人工内耳を積極的に勧めていくべきだという世論が優勢なのでしょうか?
「頭の中に機械を埋め込む」とお聞きすると、とっても怖い気がします。

Chie: スウェーデンの国王がイタリア訪問の際、「スウェーデンは93%の子どもたちが人工内耳を装用。13ヶ月目までに装用すればいずれは聴者のように聴こえるようになる」と公言したと新聞に載っていました。たまたま、スウェーデンにいるときに新聞に載りました。

他にも、人工内耳を装用している子どもたちが増えていることにより、手話の必要性がどうなるかという危機感を抱く人もいましたが、中には人工内耳を装用しても手話は使っていくという意見も出ています。 人工内耳は安全な手術かどうか、、、安い手術料で受けられるとは聞いていますが、
頭の皮膚を切ってドリルで頭の骨を少し削った後、 機械を埋め込んでいく作業です(詳細はまた調べて、別の機会に取り上げられたらと思います)。


Mau: ざわざわしてきましたよ~。
健康な「頭蓋骨」にドリルを入れることになりますが・・・そうなると、人工内耳についてはどう捉えればよいのでしょう。「治療」になるのでしょうか。考えさせれれます。 (さっき少し調べたら人工内耳手術は保険適用になるようですね)

Chie: 人工内耳は正直、意見がいろいろ分かれていますので複雑な問題ですね。
目が見えないから眼鏡をかける、と同じ感覚で、耳が聴こえなければ人工内耳をつけるという見方が、医学としての「治療」になるのだと思います。


Mau: なるほど。では、ちえさんが最初に言われた「ろう者が減ってしまうのではないか」というのは、誰から、どのような意味合いで言われる言葉なのでしょうか?

Chie: ろう者からの意見ですね。教育関係者からは、人工内耳を装用した後どのようにフォローしていくかという話を聞いています。

Mau: お話をお聞きしていると、みんなが「治療」してもらえる方が良いと思うのですが。フォローは、前向きな術後の取り組みになりますね。

Chie: 複雑だと思うところの説明が足りませんでした。人工内耳装用している方には何人か会ったことがありますが、 ほとんどの人が「あまり効果はない」と言っています。
確かに人工内耳を通して音楽を聴くことはできても、 コミュニケーションの面でなかなかうまくいかないことが多く、 周囲からは「人工内耳=聴こえる」という誤解によって 音は聴こえても、コミュニケーションとしての「ことば」が聴こえないことに対する理解がなかなか得られないという悩みをよく聞きます。
中には、人工内耳を捨ててしまいたいという声も出ています。
フォローについてはやはり、人工内耳を装用してしまった以上、人工内耳の装用についての話より、これからの教育が重要になってくるということですね。


Mau: うーん、一人ひとり個体差がありますし、本当に人それぞれなんですね。その方たちは小さいときに手術を受けられたのでしょうか?
スウェーデン国王が言われた「93%」は正確だとしても、そこからどれくらいの子どもたちがこれから本当に聴こえるようになるかは未知なのでしょうか?それでも親御さんは希望にかけるということなのでしょうか。

Chie: 人工内耳に関する正確な数字のデータは手元にないので分からないですが、私が会った人たちは小学生〜大学時代の間に装用した人ばかりです。幼少時に手術した人もいますが、彼女は「あまり必要とは思えない」と言っていました.親御さんにとっては少しでもわずかな希望を持ちたいという想いがあると感じています。 全員がそうだとは限らないのですが、スウェーデンの国王が公表するくらいなので人工内耳装用者はこれから急速に増えて来ているような気がします。

Mau: Chieさん自身は人工内耳の是非についてはどう考えていらっしゃいますか?

Chie: 正直なところ、人工内耳はあまり必要ないと感じていますが、 聴こえる親御さんにとってはやはり「聴こえている 方がいい」という子ども対する想いからつけていると思うと難しい問題だなと思っています。 昔は「人工内耳装用なんて絶対反対」と思っていました。
効果がないのに頭の中に機械を埋め込むなんてとんでもない!という感情だけ突っ走しっていました。


Mau: 確実な効果が保障されたなら、良いと思いますか?
ChieさんはChieさんとして生まれたのに・・・と考えるのは、聴こえるわたしのエゴでしょうか。そうかもしれません。
もし私がろう者だったら、そしてその可能性は未来にもあるわけで、その時に「少しでも可能性のあることは何でもしたい!」と葛藤するのは当然だと思います。

Chie: 確実な効果が保障されるとしたら良いと思ってしまう部分は否定できないですね。「もし聴こえていたらもっと違っていたかも」という想いは正直、まだ拭いきれずにいます。 でも、確実な保障(100%)でないことと手話がある限り、手術の選択はしないですね。

人工内耳については私自身も勉強が足りないので、これからいろいろな人に聞いてみます。


Mau: Chieさん、ありがとうございます。 私ももっと考えてみます。

Chie: こちらこそよろしくお願いします。6月に人工内耳に関する勉強会を予定していますのでまた決まりましたら、お知らせします。

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Mau: 今回は、福祉先進国と言われるフィンランド、スウェーデン、ドイツと廻られたわけですが、これらの国々の中では、どの国がぱっと見たところ暮らし心地が良さそうでしたか?

Chie: 暮らし心地が良さそうなのは、、、フィンランドですね。
無駄がなく、機能性を重視したデザインの建物や家具があって 出会った人たちも明るくオープンな人々でした。
スウェーデンは観光に良い場所ですが、フィンランドよりはまじめでおとなしいような印象を受けました。ドイツはハンブルクしか行っていないですが、おしゃれなファッションやいろいろな文化が入り交じっていて、漢字も大学の構内や中華料理店で久しぶりに見ました。


Mau: わあ!映画「かもめ日和」のフィンランドですね?ろう者の方々にとっても暮らしやすい工夫に溢れているのですか?

Chie: 実は映画を見る余裕もなくそのまま旅立ってしまいましたので今度見ようと思っています。ロケ地に行こうと話していましたが、少し離れていたので「お預け」にしました(笑) ろう者にとって暮らしやすいかどうかというと、 ハード面ではそれほど不便さを感じませんでしたが、実際に生活してみると社会的な課題は出てくると思います。

フィンランドにはデフハウスがありました。 スウェーデンにもありますが、フィンランドでのデフハウスで日本とフィンランドのろう者たちが手話を通して交流パーティを行っていました。 年配の方から子どもまでが一つの場に集い、日本の文化を紹介したり、フィンランドからの出し物に応じたりご飯を食べながら手話で交流しましたね。


Mau: 楽しそうですね!デフハウスというのは、ろうの方々が集まって暮らすグループハウスのようなものですか? 日本にはあるのかな?

Chie: そうですね。運営主体は地域によって異なると思いますが、フィンランドではヘルシンキとユバスキュラにありました。
日本ではこのように一つの場を使ってパーティや学習会を使う為のデフハウスはあまり聞いたことがないです。場所を借りたり喫茶店でサロンとして集まるところはあります。


Mau: そこに住んでいるわけではないのですね。

Chie: スウェーデンではそこに住んでいる人がいます。アパートの部屋としてろう学生が住んでいました(実際に見せてもらいましたが、これは学校と政府からの資金によって運営しているとのことでした)。 こと葉やのような部屋が、デフハウスの部屋になっている感じです。
日本と違って、行きたいときに集える場があるという、 生活の一部になっている印象を受けました。


Mau: きっとそこも素敵なお部屋なんでしょうねえ。写真は撮られましたか?中も、外観も見てみたいです~。

Chie: ビデオ撮りましたのでDVDでまとめようと考えています。

Mau: 上映会、教室でもやっていただきたいな~♪
スウェーデンは、手話も「公用語」の1つと聞きましたが、どのくらい手話は日常的に普使えるのでしょうか?
公共機関、病院、銀行などでも手話のできるスタッフが在中しているのでしょうか?

Chie: デフハウスの近くにあったピザ屋さんでは店員が手話を使っていましたが、マクドナルドでは違っていました。
注文するとき、日本ではメニューが手元にあるから手話ができない店員に対しても、指差しや簡単な手話で何とか通じます。
でもスウェーデン(オレブロ)では、メニューがなかったり、メニューの内容を書いたメモを差し出しても反応があまり良くなかったです。
生活レベルで、手話が広がっていると実感するレベルまでは至っていなかったです(短い期間の滞在でしたので、たまたま手話が使えない場所に行っただけかもしれないですが)。

でも手話とスウェーデン語のバイリンガル教育についての研究は進んでいました。スウェーデンの手話の教材開発として国が資金を出していることから、公用語として認められている以上、 研究ができる環境にあるのでは?という印象は持ちました。


Mau:「手話とスウェーデン語のバイリンガル教育」ですか。今まで考えたことが無かったです。
人口内耳、手話、 ・ ・ ・ 一人ひとりのそのときの状況に適した方法を探し続けることが可能な世界に私たちは生きていることを感じました。
足元を見つめなおして、また前を向いて歩いていく。皆さんにとってそんな春になりますように。


♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆


今回は人工内耳という新たなキーワードが出てきました。わたしたちの「暮らし」の中にある「音」はどんなものがあるでしょうか。
次回も北欧の思い出を一部かじりながらの対談を予定しています。
今日もありがとうございました。
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by machi-life | 2009-04-03 00:01 | mau+chie life