聴こえないわたし 聴こえるわたし ~ことば&暮らし~

それぞれの「ことば」を「知ること」からはじめよう
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2009年 11月 23日 ( 1 )

第40回(2009.11.23) 『盲者とろう者のコミュニケーション』

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由    

    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。


"聴こえないわたし”-Chie<東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

"聴こえるわたし”-Mau“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き

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Chie: 最近、鍼による治療を受けています。

人生で初めてなので「痛っ!」という感覚を楽しみながら(?)通っていましたが、今回で一応終わりました。

先生からは「具合が悪くなったときにまた来てください」とのことでした。そのあとに「おもしろいことがあったらメールしてね」と先生の心配りもありました。

まうさんはいつ頃から鍼に通っていますか?

Mau: 3ヶ月前からですね。最初は週2回で通っていましたが、今は週に1度施術を受けています。とても全体のバランスが良くなったと感じています。

ちえさんはいつ頃から行き始めましたか?


Chie: 1ヶ月くらい前からですね。まうさんに紹介してもらって初めて行った時は「何されるのやら?」と不安半分わくわくでした。


Mau: どうでしたか?初めての鍼は?


Chie: 神経が集中している左腕を刺された時は、電気が走ったように痛かったですね。

それ以上に、先生が目の見えない方なので、盲の方とお会いしたのは初めてではないですが、どうやってコミュニケーションをはかろうか、少し戸惑いはありました。

Mau: そうですよね。私も今回初めて行きましたが、初回は思わず手に汗を握りました。先生にリラックスして!言われましたが、「どうすればリラックスするのでしょう?」と、聞く始末。動揺していたんでしょうね。



Chie: 先生からはどんな反応でしたか?



Mau: 大爆笑されて、「馬鹿なこと言ってんな!」あははは!といった調子だった気がします。力を抜くって、難しいな。伺うたびに、思っているよりも普段の身体は緊張を強いられているのだなと思わされます。



以前盲の方と出会われたときは、どのようにコミュニケーションを取られましたか?



Chie: 大学時代に盲の学生さんがいたので慣れているつもりでしたが,大学時代は難聴や聴者の学生が隣で通訳をしていました。

私の話す事が伝わるのは良いですが, 盲の方から話される内容が分からない、読み取れないときが多かったですね。余談ですが,昔のろう学校は盲学校とろう学校が一緒になっていました。私が生まれる以前の話ですが、単に国としては「障害者は一つにまとめよう」という視点にあったかもしれません。
特別支援教育がスタートして数年になりますが、時代に逆行しているのでは?という見方も出てきています(ろう学校と盲学校を一緒にしよう、という法律ができたのです)。 


Mau: ちょっと待ってくださいね。いま想像しています。

ちえさんが声を出して(でもちえさんは聴こえない)、そして盲のお友達が聞いて、お話をする・・・けれど聞こえない・・・となると、手話も使えませんね。
通訳が入らないとすると、どうコミュニケーションを取りましょうか? 

Chie: 私の発音が分かる人とそうでない人に分かれますが,学生時代はほとんど、その方が通訳のときに声がかぶらなくて済むから)私は手話のみで話をしました。 そして、間に聴者や難聴者が入って、私の手話を読み取って日本語を声に出して話しました。


逆に、盲の学生が話す時も日本語を聞いて、私に対して手話で話しました。もし、通訳が入らないとなると難しいですね。

きっと、指差しから始まって手探り状態なのでしょう。でも沖縄に行ったとき、「あ!そうなのか!」と思った体験があります。
沖縄で知り合った盲の方は、ろう者と行動を共にしていました。


そのろう者が手話を教えていたので、盲の方が話されるときは手話で話されていました。簡単な会話ですけど。


Mau: ふはぁ~・・・!!

お互いにものすごい努力と時間をかけて手話を習得されたのでしょうね。

盲の方は、誰かに手を取ってもらって、ひとつずつ覚えていったということでしょうか?


Chie: そうかもしれないですね。


Mau: 鍼の先生もそうですよね。

鍼灸やマッサージというと盲の方が開業されていることが多いですが、手の感覚に優れた方が多いのかもしれません。後から発達をしていかれるのかもしれませんが。私にとって鍼の先生は、日本で初めての盲の方との出会いになります。先生の前では的確に症状を言葉にしなければいけません。痛む箇所から、程度、不調を感じる頻度まで事細かに聞かれ、確認をしながら鍼をうつ個所を決めていらっしゃるようですが、自分の体のことなのに説明がむずかしい!

「この辺り、何となく痛む、でもいつから症状が始まったのか明確には覚えていない」等々、いかに曖昧に過ごしているのかを指摘されます。耳が痛いのですが、ありがたーいお言葉です(笑)。


Chie: 外国ではお会いした事ありますか?


Mau: はい、アメリカとチリでお会いしました。


Chie: 一つの機能を失うともう一つの機能が発達するとは言われていますね。お会いした時はどうでしたか?何かが違う事は感じましたか?


Mau: アメリカの大学でのお話ですが、世界史の先生は盲の方でした。

いつも盲導犬と一緒に片手には大きな点字の教科書を持って授業に来られていました。

本を手でさわりながらの授業でした。もちろん板書は一切ありませんから、生徒はお話を聞きとろうと必死でした。

膨大な範囲をカバーする世界史の授業でしたから、1回の授業の範囲がとても広くて、毎週40ページから50ページ読んでくる必要がありました。


Chie: 話すのも早かったですか?


Mau: 一般のアメリカ人が取るクラスですから、ナチュラルスピードでしたよ。

世界史の知識がまず日本語でもなかったこともありますが、私にはそのクラスはとてもむずかしくて、テストでは赤点を取ってしまいました!

その時に先生のお部屋へ呼ばれたのですが・・・。


具体的な内容はよく覚えていませんが、要するに、先生が言いたいのは、「見えない私にできることが、どうして見えるあなたにはできないと思いますか?それはすなわち努力が足りないのではないですか?」そんなことを暗に言われたと思います。


それからは、一念発起をして私なりにものすごく苦労をして、胃が痛くなりながら勉強をして、ようやく及第点をいただいて卒業することができました。
「あらっ!できるんだわ!」と思った瞬間です!

Chie:できる! その自信、とても大きかったですよね?
今では良い思い出の一つになっていますよね。盲の方は話すのが一般的に早いと言われています。本当なのかどうかは分かりませんけど、

確かに「見えない私に出来る事が、どうして見えるあなたにはできないの?」と思う気持ちは分かる気がします。

聴こえない私に出来る事が、どうして聴こえるあなたにはできないの?と思った事は少なからずあります(笑) 


一人で旅に出たとき、旅先で「聴こえないのに一人で旅しているの?私には無理」と何人かに言われたことがあります。


そのときに「聴こえるのに何で無理なのかしら?聴こえるんだったら困ったときに誰かに聞ける手段がはっきりしているだけでも

十分じゃないのかな?」と思うことがあります。


でも今は、少しずつ考え方や見方が変わり、人はそれぞれできることとできないことがあって当たり前。

それを単に身体的特徴だけで優劣を決めたらいけないなとも実感したときもありました。


Mau: そうですよね!「やれば」できるんです!

そこで頑張ったおかげで予定より1学期早く卒業できました。

母には内緒で、浮いた学費で、3ヶ月間中南米を一人旅をしました。その時に体験したことは、今の私の在り方にとてつもなく大きく影響しています。

また、チリで出会った盲の女性は、素晴らしい声を持っていて、街頭でラジカセをかけながら、歌をうたってお金を稼がれていました。


Chie: いいですね、3ヶ月間回れるって。

自分で稼ぐということは、自立の一歩ですね。


Mau: そう思いました。笑顔で歌う彼女に元気をもらって、その対価として街の人々はお金を支払いました。誰かに守られて暮らすという選択肢もありながら、こうして自分の持っている価値を自ら見いだし、そこに磨きをかけて、職業として確立していくこと。
みんな同じ、そこで、その場で必死にがんばっているんですね。

Chie: 盲の方とのコミュニケーションについてはまだ不慣れな面が私にはありますが,鍼の先生には、先生の手を取って「ここの辺りが痛い」というように伝えています。

Mau: なるほど。そのように伝えられていたのですね。

Chie: このように自分とは違った人たちに触れ合うと対価はもちろん、新たな視点に立つことにもなりますね。

Mau: 本当にそう思います。

鍼で的確にツボを刺激することで、私たちの身体の調子はとてもよくなりましたね。実は、ほんとーに小さなことが、大きく何かを変える力を持っているのかもしれません。


Chie: メンテナンスですね。

身体のメンテナンスとして本当にありがたいことです。

Mau: また、普段の暮らし方、考え方、人との接し方の重要性についても改めて理解できた気がします。


Chie: そうですね。鍼に行っている時は大抵、身体が悲鳴(?)をあげて疲れている時だと思います。そこで、以前、ろう者が「疲れている時は手話で話せる友達のところへ行く」と言っていました。この辺りについて聴こえる人たちの中にもありますか?

Mau: もう少し詳しくお聞かせいただけますか?その方は、どういうお気持ちでちえさんにそう言われたのでしょうか?

Chie : 普通に会話をしていた時の話なんですが、例えば会社の中では声を出して話をするけど,時々、ろう者や手話の出来る人たちの所へ行くとホッとするということを言っていました。元気な時は、多少コミュニケーションが難しくても何とかなるという前向きな気持ちにはなるでしょうけど,疲れているときは気楽に話したいということです。例えば,彼女に束縛されてそろそろ友達と遊びたいな〜という恋人と同じ感覚です。


Mau: (笑)!


Chie: そういうときってないですか?日常生活の中で。

Mau :日常生活の中で心身ともに疲れているときには、私の場合は映画館や岩盤浴へ行きますね。そういうときは、あまり人とは会いたくないかもしれません。

周りを見渡してみると、自分を肯定してくれる人のところへ出かけていって話をすることが多いのではないかなと思います。

ちえさんは、そういう時はどんな人と話がしたくなりますか?


Chie: 反応が分かりやすい人と話したくなりますね。


Mau: 具体的にはどういう人のことですか?


Chie: 「うんうん」と聞いてはいても、上の空だなとか、心ここにあらず、の表情をしている人よりは、真剣に反応する方が好きですね。「え?」「なんで?」というように目に見える形で分かるとこちらも話したくなる。

そういう感覚でいます。普段はできるだけ、時と状況に応じて聞き役になったりしますが。だから、もしかしすると、昔から女友達の中で女性らしさ100%の人は少ないですねたいていが、ちょっと男性っぽい。


Mau: え?私も入っていますか?!


Chie: 入っています、さっぱりしているところがありますし。良い意味で(笑)


Mau: ありがとうございます。

私の周りにも優しさを保ちながら、いざという時にははっきりと意見を言ってくれる友達が居てくれていますね。一人遊びが上手な人も多いかな。


例えば、みんなで遊びに行くとします。

現地に到着したら、解散!てんでばらばらに好きな場所に散らばって、お昼に改めて集合!そこで各々がどんなことがあったかお話をして、またてんでばらばらにちらばり、帰りは一緒にわいわい楽しく帰ってくるみたいな。そういうことのできる友達が多いですし、無理が無いので疲れませんね。


要するに、自分の世界を持っている人かもしれません。そして他の人とも共有できる人かな。


Chie: それは分かります。

そうですね。私も旅行する時は別行動の時間も作っていました。

単なるマイペースだけでなく、お互いにやってきたことを報告し合って

充足した時間を過ごせる友達がいいですね。


Mau: そう思いますー!
いつも会っていなくても、ふとした瞬間に「どうしてるかな?」。美味しいものをいただいた時には、「あの人と一緒に食べたいな!」。悲しいときには、「会いたいよー!」と叫びあう関係を、たくさんの人とは無理かもしれませんが、縁があって周りに居てくれる人たちとは交換し合いたいと願っています。


そんなときに、ああこれが人として生きる喜び?!なんて、少しセンチメンタルに感じて一人悦に入って楽しんでいます(ふふ)。


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by machi-life | 2009-11-23 22:57