聴こえないわたし 聴こえるわたし ~ことば&暮らし~

それぞれの「ことば」を「知ること」からはじめよう
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第5回 (2009.3.20) “Chieさん 北欧へ行く”

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由

    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。


"聴こえないわたし”-Chie

東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

"聴こえるわたし”-Mau

“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き

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突然ですが ・・・

~Chieさんは、3月17日(火)~3月29日(日)まで北欧研修旅行中です~

Mau:北欧への旅の計画はいつから始まったんですか?メンバーは全員知っている方ですか?

Chie: 今回は筑波技術大学が毎年1回主催している「北欧国際交流研修旅行」です。メンバーはほとんど知らない方々で、筑波技術大学の学生だけでなく、全国から学生や社会人も参加します。昨年の11月にお知らせがあり、数年前にも参加したことがあったご縁で手話通訳の方から「今回も一緒に行きましょう」と声をかけていただいたことがきっかけです。

(筑波技術大学は)筑波大学の隣にあって、全国で唯一の聴覚障害者のための国公立大学です。学生は全員、ろう者・難聴者です。
アメリカでいえば、ギャローデット大学がありますが、日本では筑波技術大学です。ろう者、難聴者以外にも視覚障害者のためのコースもあります。


Mau: ちえさんはそちらの大学のご出身ではないと思いましたが、以前から接点はあったんですね。

Chie: そうですね。愛知県の日本福祉大学にいましたが、学生時代から、筑波技術大学の教員や学生さんたちとの交流はありました。

Mau: 数年前に参加されたときにも、渡航先は同じでしたか?それとも毎年変わるのでしょうか?

Chie: 大学2年の冬(2004年)に参加したときはフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークでした。
毎年フランスが加わったり等、訪問国は変わります。


渡航先で世界ろう連盟や聾学校、デフクラブ(ろう者成人が集まって親交を深めたり学習したりする場)等を視察したり、現地のろう者や子どもたちとの交流をします。
大学2年のときは見るもの、聞くものすべてが新鮮すぎて 「なるほど」で終わっていました。
社会人になって手話講師を務めている今、あらためて海外の手話の事情はどうなのか、自らの目で確かめたいという気持ちがあります


Mau: 「社会人になって」と言われる気持ち、同感です。私も17歳の時に、初めて1ヶ月間アメリカでホームステイを経験しました。その後、本格的にアメリカ留学をしたのは23歳~25歳です。その後仕事に就き、30代に入ってから、今度は南米留学をすることができました。時間の濃さでいえば、10代、20代の頃とは一味も二味も違いました。まさに若い時分にしか見えないものもあったと思いますが、社会の仕組みをある程度理解してからの海外生活は充実そのものでした。今度は40代での海外長期ステイを実現させたいですね(笑)。

余談ですが、私も手話がぺらぺらになったら参加できますか?女子憧れの素敵な国々ばかりですね~。

Chie:ムーミンの国は憧れますよね。参加条件が手話できることなので、聴こえない人も聴こえる人も参加できます。もしぺらぺらになりましたら、ご一緒に企画立てましょうか(笑)
20代と30代の違い、まだ自分は実感できないですが、まうさんやハンズのスタッフのみなさんと関わっているうちに自分はまだまだ子どもだなぁって痛感します。
すごい勉強になるのでこれからもかわいがってください(笑)


Mau: ・・・・フッフッフ。
わたしも大人ぶってるだけですけどね・・・そのうちお見せしますよ。
企画ツアーよろしくお願いします。手話へのモチベーション、ぐーんと上がりました。

Chie: ええ~(笑)そのうちに、本来の姿が見れるのを楽しみにしています(笑)。
手話がぺらぺらになったら、まうさん、海外のろう者ともすぐ打ち解けそうな気がします。


実は、この研修旅行は大学2年のときに参加して以来、一つの人生の転機にもなりましたので、今回もどのような影響が・・・?と若干期待はしていますが、まずは見るものをしっかり捉えて手話の指導やいろいろな面で活かしていけたらと思います。

Mau:行かれる前から帰国が楽しみなのですが・・・まずは、今回の旅程を教えていただけますか?

Chie: 3/17 出発。
3月17日~21日までフィンランド
そこから船で移動
22日~25日にスウェーデン
26日~28日までドイツ
29日に帰国。


フィンランドには世界ろう連盟の事務局がありますのでそこを訪問し、理事長の講演を聞く予定です。
他には手話通訳養成に力を入れている大学の視察とその学生さんたちやデフクラブの人たちと交流をする予定。

スウェーデンでは同様に手話通訳や聴覚障害関係の大学、そして成人ろう者も受け入れているという高等学校へ訪問し、学生さんたちと交流をしながら視察予定。
ドイツは大学としてろう講師を雇っているところがあり、手話通訳養成関係として視察予定。

参加者も、学生や社会人だけでなく、聾学校卒業生であったり、インテグレーション出身であったり、ろう児とかかわりを持つ聴こえる人だったり、本当にいろいろなメンバーが集います。そして、旅行会社にお世話になりますが、その社員もろう者です。以前もご一緒になった経験がありますが、一般と大差なくプロ意識を持っている方でした。
以上でおおざっぱですが、大体想像はできるでしょうか・・・?


Mau: ばっちりです。比較的ゆっくりと一カ国に滞在されるんですね。
各国の言葉と日本語をつなぐ、インターナショナルな手話通訳者も同行するのですか?

Chie: 現地の通訳と日本から同行する手話通訳があります。話者が聴こえる人で音声進行でしたら、現地の言語を日本語に訳し、日本語を聞いて手話で通訳というリレーのような通訳場面もあるかと思います。情報量がぐんと減りそうな気もしますが、どのように通訳されていくかしっかり見たいなと思います。

Mau: すごいリレーです。通訳される方自身の語学技術以外の知識も問われそうですね。

Chie: そうですね。今回の通訳者はヨーロッパ圏に留学した経験がある方なのである程度の知識はあるかと思います。これも現地よりレポートでお伝えできたらいいですね。まうさんも通訳経験があるかと思いますので今度、通訳についてお話をしてみたいです。

Mau: それが、今思い出しても苦い経験ばかりなんです。相手の方が満足して下さっていても、足りない部分は自分が一番分かってますから。一生勉強です。

Chie: 私もベトナムでろう者相手に通訳したことがありますが、単なるボランティアでは済まされないほど、本当に重要な仕事だと分かりました。
そういえば、通訳は世界で二番目に古い仕事だそうですね(古い=歴史が長い)。


Mau: そうなんですか?!意外な気もしますが、言われてみるとそれもそうかもしれないと思えてきました。
さて、皆さん、さまざまな思いで参加されると思います。グループとしての旅の目的、ちえさん個人の目的や期待とはどんなことでしょうか?

Chie: 現地の視察と交流を通して国際的な視点を持つことが全体の目的かと思いますが、それぞれの立場でそれぞれ違った目的を持って参加されますね。
実は研修に参加するメンバー同士で事前にメーリングリストを通して情報交換を行なっています。


参加者の目的は本当に様々なのですが、大体は教育面や福祉の面で日本と比較したいという想いを感じます。
私の場合は、日本との比較を通して、国の背景は違えど手話指導や手話通訳養成の指導方法と知識を身につけたいという期待があります。

国内の手話通訳養成指導で専門的にやっているところが数少ないこともあり、また、海外では手話通訳もビジネスとしてみているため、ボランティア感覚が強い日本の手話通訳とは違った視点、環境、指導方法を見たいという想いでいます。
短期間で分かるはずはないですが、参加者や現地のろう者や関係者とのネットワークを作ることも視野に入れています。


Mau: 既にそれだけの明確な目的をお持ちですから、大きな収穫が期待できそうです。頭、身体、心で感じてきて下さいね。

海外では手話通訳や手話講師はきちんと食べていけるビジネスとして確率されているのでしょうか。日本には「プロフェッショナルの手話通訳」として生活をしている人はかなり少なそうです。また公民館などで行われて手話教室は、「無料」が当たり前と言われている状況がありますね。

Chie: 聞いた話では海外では専門職として就いているということですが、これは公用語として手話が認められているという背景があってのことかと思います。
日本ではまだビジネスとして確立されていません。通訳はボランティアでもできるという見方があるため、手話は簡単に覚えられるというような一種の偏見がある証拠として「無料」というのが当たり前になっているように思います。

これも聞いた話なのですが、年配のろう者や手話通訳の方々は「障害者で困っているので手話を覚えて下さい」と腰を低くしてまでお願いをしないと本当に困るという話がありました。
その背景から、手話は無料で教えてもらうものという意識が社会の中にあったのでは?と思います。


Mau: 手話がボランティアで留まり、日本ではなかなかビジネスにつながりにくい背景として、「手話を学んでも、あまり役に立たない(特に英語や中国語など他の言語と比較をして)」と考えている人が多いという背景もあるのではと思っています。

でも、ちえさんやハンズの皆さんとお話をして、聴こえない世界に想像を巡らせていくうちに、東京はともかく、実は新潟では、「外国人と出会うより、ろう者や難聴者の方々と出会う確率の方がよっぽど高いのでは?(⇒ ちゃんと覚えれば使用頻度もかなり高いのでは?)」という(実際に数字は分かりませんが)確信に近いものを感じています。

ちえさんのように、「補聴器」を付けていない方は、外見だけではろう者とは分かりませんが、自分が手話を始めてみて初めて、街のさまざまな場所で「出会う=気づく」ろう者の方々に驚いています。ほんのちょっとした視点の移動から見えてくることもあるのだと実感しています。

少し「手話のボランティア」から脱線しますが、私は自分の周りで現在展開している「ボランティア活動」と自分の考えるボランティア活動に差異を感じています。「頼む」、「引き受ける」前に、「どうしてボランティアが必要なのか?」、「なぜ自分がこれをやるのか?」という基本軸が、曖昧なままスタートしてしまうことが多いような気がします。活動内容自体はとても素晴らしいものであっても、時が経つと思いもよらない場所に「流されている」ことがあったりします。「あ・うん」の呼吸が取れるようになるまでは、たとえ面倒でもお互いの目的を合致させる話し合いは必要不可欠だと思っているのですが、その辺りがメールだけで済ませてしまう等、何かが不足しているように思えるのです。

日本という国に住み、限りある時間と自由を与えられているのですから、「なんだかな~?まあいいか。仕方ないか」と思う展開は、なるべく避けたいと考えています。自分がボランティアをお願いするときにも、付加価値及び対価については(必ずしも金銭的なものではない)最初にきちんとお伝えするようにしています。

「一生懸命なこの人のために、何かしら協力したい!」という熱い思いだけで動かされることもしばしばありますね。私自身、周りの方々に「こいつめ・・・!」と思われながらも、助けていただく立場だったりもするのですが。
「労力も貸すけど、口も出すよ」。
そういう、お互いの信頼を基盤としたオープンな関係が、ボランティアであろうがなかろうが自然に築かれていくといいなあと思ってます。

「私たちらしい」プログラムやツアーを将来ご案内できる日を楽しみにしています。

Chie: 本当にありがとうございます。基本的に仕事に対しても何事に対しても誠実に突き進んでいくことがポリシーなので、ご一緒にプログラムを作ることはとてもいいものが生み出せると思います。

今回はかなり脱線しましたが、とてもいいお話ができました。まうさんとのお話はいつも、自分の知っている世界を第三者から見てどのように受け止めるのか、どのように見るのかを知る機会になっているので本当にすごいことだと今更ながら実感していますし、まうさんの質問は手話指導にも役立っています。


Mau: こちらこそありがとうございます。

ちえさんが「当たり前に」感じていて、私には「そうではない日常」を知ることは、日本に居ながらにして、カルチャーショックです。
話しにくいことでも、「何でも聞いて下さい」と言える、ちえさんの柔軟さを持ち合わせた強さは果てしなく前向きで、いつもエネルギーをいただいています。

北欧から戻ったら、ゆっくり温泉に浸かりに行きましょうね~♪

Chie: 日本にいながら感じるカルチャーショックは他にもいろいろありますし、私にもあります。
みなさんからもそういった経験がある方は聞いてみたいですね。ぜひ温泉に行きましょう♪


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<参考HPのご紹介/文字の上でクリック!>

Gallaudet University (English)

ギャローデッド大学 (日本語)
米国ワシントンD.Cに 世界唯一のろう・難聴学生のための私立大学

国立大学法人 筑波技術大学  聴覚・視覚に障害を持つ人を対象とした日本国内唯一の国立大学
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by machi-life | 2009-03-20 00:00 | mau+chie life
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