聴こえないわたし 聴こえるわたし ~ことば&暮らし~

それぞれの「ことば」を「知ること」からはじめよう
by machi-life
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

第25回(2009.8.7) "映画で見えてくる私たちの想い"

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由

    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。

“聴こえないわたし”-Chie

東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

“聴こえるわたし”-Mau

“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き

♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆


ゆずり葉って?

Mau: 本当は今日は健康診断の続きなのですが・・・昨日ちえさんが鑑賞された映画「ゆずり葉」の話題をとりあげたい気持ちが湧き上がっているのですが、いかがでしょう?
またしても予定変更になりますが?

Chie: 健康診断は縁がないですね(笑)映画の方がホットな情報になるので、健康診断は話題がないときの対応として保留にした方が良いですね。

Mau: あはははは!!

Chie: 「ゆずり葉」知っていますか?

Mau: 植物の名前でしょうか?ゆずの葉? 違うなきっと。

Chie: もともとはどういうものか分からないけど、意味は次の次へ受け継ぐというような意味だったと思います。
映画のゆずり葉のサブタイトルが、君もまた次のきみへ、です。


Mau: 「君もまた次のきみへ」ですか・・・。そこにはいろいろな意味が込められていそうですね。映画を実際に見ると込められた想いが明らかになるのでしょうか。

Chie: そうですね。ラストシーンは思わず「そういうことなのか、なるほどなぁ」と納得しました。
もともと、この映画は全日本ろうあ連盟という全国規模の、聴覚障害者団体が創立60周年を記念して製作した映画なのですが、監督は早瀬憲太郎さん(NHKの手話番組出演)が務めています。脚本も担当していますが、映画製作のきっかけはろうの少年の一言だったそうです。
「ろう者って大人になったら死んじゃうの?」でした。


大人になったら死んじゃうの?

Mau: ええっ?どうして少年はそう思ったのでしょうか?

Chie: 映画やテレビを見ても、ろう者の大人が出てこないからです。聴こえない人のドラマがあっても、それは聴こえる人が出演しているのでろう者の大人の姿をあまり目にしないことから、生命は短いと思ったのかもしれません。

Mau: なるほど~・・・・!

Chie: フリースクールで子どもたちと接している早瀬さんはショックを受けてこれで映画を作ろう、と決めたそうです。

財団法人 全日本ろうあ連盟創立60周年記念映画 "ゆずり葉" http://www.jfd.or.jp/movie/
ここに予告編があるので少しだけ見ていただいたら分かるかと思います。

ビデオ収録が趣味だった主人公に、ろう運動を進める仲間達への興味が次第に深まっていくことがすべての始まりでした。

主人公は彼らを追いかけて映画製作に没頭するあまり、大切な人を失ってしまいます。
映画製作を中断し、30年間心を閉ざした生活を送っていました。

そこで、聴覚障害によって壁にぶつかっている若者の現実を知り、
「昔に撮影した映画の続きを製作したい」という仲間達の声を機に、映画製作を再開。

役者を目指す若いろう男性と出会い、次第に自分と重なり合うように見守りながら映画製作を進める。
実はここで衝撃な真実が待っていた、というストーリーです。

(映画製作の目的は、聴こえないことによって社会的不利を被った現実を知らせるのと、次世代の人に伝えていくためのものですね。
今回のゆずり葉の中には、実際にあった薬剤師試験の壁や日常生活で聴こえる人から受ける誤解のことが含まれています)

Mau: いま見てみますね。

Chie: 予告編を見ていかがでしたか?

Mau: 現在・過去、いろんな人のストーリーが交錯した内容のようですね。

Chie: そうですね。最終的には全てがつながるストーリーは好きな類なので、思っていたより良かったです。

Mau: ぜひ私も見てみたいのですが、新潟県内での上映はこれからもあるのでしょうか?

Chie: 2回だけあって、8月29日(土)19時~西川図書館多目的ホール、9月12日(土)【1】14:00 【2】18:00~白根学習館ラクペックホールで行われるそうです。
都合はつきそうですか?


<新潟市外での上映スケジュールは、9月6日(日)【1】13:00 【2】17:00会場:新潟県・長岡造形大学、12月6日(日)【1】10:00 【2】13:00会場:新潟県・新発田市生涯学習センター>

<全国・地域別での詳細上映スケジュールは、こちらをクリックしてください。

Mau: そうですね、8月29日は東京へ行くため難しいのですが、9月12日は行けそうです。予定表に書き込みます!

Chie: ありがとうございます。こちらは、9月12日は東京の予定です(ドイツから日本人留学生が数年ぶりに一時帰国でドイツの事情をきく予定です)。
まうさんも東京へ行かれるのですね!

Mau: あらら、変わりばんこに東京行きですね(笑)。

Chie: そうですね(笑)講師の為の学習会とかでしょうか?

Mau: いえいえ、29日の目的は、メキシコ美術の展覧会ともうひとつ見たい展覧会があって行きます。30日は試験です~♪なかなかメキシコの美術作品の展示がまとまってくることはないので楽しみです。

Chie: まうさんが難しい!!!!!と言っていた試験なのですね。メキシコの展覧会ですか、いつまでですか?

Mau: ちょっとお待ちくださいませ。

メキシコ20世紀絵画展です(クリックをするとHPに飛びます)。

Chie: 8月30日まででしたね〜世田谷美術館ですね。
Mau: 行かれたことはありますか?

Chie: ないですね。ぱっと見る限り、東京っぽくないというか、行ってみたいと興味をそそられますね。

Mau: 私も今回初めて訪れる場所なのですが、ここは近隣の住民の方がボランティア?で展示品の案内をされるという場所のようです。

Chie: 楽しめそうですね。世田谷というとセレブのイメージがありましたが、地域の方々による案内があるということは、地域性を感じさせます。

Mau: 先ほどの映画に少し話を戻しますが、昨日はたくさんの方が見に来られていたと思うのですが、皆さんの感想はどんなものでしたか?

Chie: 「感動した!」という感想が目立ちました。ろう者からはまだ聞いていないのですが、東京にいる友人は同じ感想を持っていました。
一緒に見たお客様も「言葉にならないくらい、感動した」です。

Mau: 特に内容のどんなところに感動されたのでしょうか?

Chie: 個人差によると思いますが、聴こえないことによって大切な人を亡くしてしまったということですね。

聴こえる人であればすぐに救えたかもしれない状況で、聴こえないことによって家族との関係がこじれてしまったり、すぐに救いたくても救えず、身動きがなかなかとれない状況といったところでしょうか。

でも、私自身、身にしみるというか、ある意味で嫌な体験を思い起こさせましたね。

例えば、薬剤師の試験の場面で、口が読み取れない状況なのに聞き取り検査をやらされて苦しい想いをする場面が出てくるのですが、自動車の運転免許での聴力検査を思い出しました。
自動車学校に入る前に、聴力検査が義務付けられていましたので補聴器をつけて検査を受けたんですよね。
でも音量をMaxにしても全然聴こえないです(もともと重度の聴覚障害)。

「聴こえない」となかなか言えず(聴こえなければ不合格とし、自動車学校に入れなくなります)。
そのときは検査員の視線がきつくて「すみません、補聴器の調子が悪いから」と何とか懇願して検査をパスしました。

その後に、免許更新がありましたが聴力検査は義務づけられていないにもかかわらず、「後ろから手を叩くので、何回叩いたか答えなさい」と言われて冷や汗をかきました。

「ここで聴こえない!と言ったら免許を剥奪されてしまうのだろうか?」と急に不安になりました。
そこでも「すみません、補聴器が壊れているみたいです」と言って何とか許可をもらいました。

何で聴力が必要なわけ?と思いながら帰路についた記憶があります。
それが現実なんだなと思いますし、法律の壁ですね。
その体験を思い起こしたので、うわ〜嫌なこと思い出しちゃった、になりましたけど、
客観的に自分が受けてきた体験を見つめる機会にもなりました。その辺りが、聴こえる人たちの受け止め方と違うかもしれないです。


Mau: そういうことが過去にあったのですね。
ちえさんから見る映画「ゆずり葉」は、今の社会ので実際に対面している日常と考えていいものでしょうか?

Chie: そうですね。時代にさかのぼるシーンもありますが、現代の日常生活に通ずるところばかりあります。
例えば、若いろう男性は、映画の中で「俺はずっと手話を知らない世界で育てられた。手話ができなくてもいい、聴こえる人のふりをして生きろと家族に言われていた。だから聴こえる人たちの真似をやってきた。でも、(ろう者の女性との出会いで)それは間違いって気がついた。聴こえないことを公に出しても良いんだって、自分自身を認められるようになった」ということを話すシーンがあります。これは、現在の同世代の大学生に通ずることですし、私が学生時代に出会った難聴者、ろう者たちと同じ想いです。


Mau: 映画の中のろうの男性も、そしてちえさんも、「誰か」(又は何か)に「会う」ことがあって、初めて物まねではなく自分として生きていく喜びを知った・・・。
もしこの映画を見ていたのが、例えばちえさんが中学生、高校生だったならば・・・どんな感想を持つでしょうか?

Chie: 聾学校にいたら、きっとピンと来なかったと思いますね。がんばって、聴こえる人のようになればいいじゃん、って思うかもしれないです。
それは、人生経験が少ない中で、「聴こえる人のようになれ」という先生のことを信じていた頃の話です。

今の時代、手話の認知度が高まっているのでもし、今の時代で中高生であれば少しは別の感想を持つかもしれないですが、それでも、たぶんピンと来ないような気がします。


Mau: そういうものでしょうか・・・。

Chie: 現実を見たくないという思いと、聾学校では考えられない現実ですから。聾学校ではそのような現実についてあまり語られていないし、卒業生との交流会でも良い話ばかりだったのできっと昔の自分がこの映画を見たら、複雑な心境になるかもしれないですが、聴こえる人たちの真似をしているのだという現実に直視するには若すぎるような気がするのです。

説明が難しいですが、今の子どもたちは手話を小さいときから目にしているし、手話ができる大人たちの本も少しずつ出ているので違った感想を持つと思います。

Mau: ありがとうございます。

この映画から、ちえさんはどんなメッセージを受け取りましたか?

Chie: 聴こえないことをもっと前に出して良い、ということですね。


Mau: あえてお聞きしますが、聴こえる人たちにはこの映画を通じてどんなことを知ってほしい、考えてほしいと思われましたか?もしあればお願いします。

Chie: 聴こえないことによって生じる社会的な不利はこういった、日常生活の中にあるという現実ですね。
現実を見て考えてほしいという受け止め方をしました。もともと、ろう運動を起点にした映画なので、理解してほしいということですね。でも聴こえる人を排除するというような偏りはなく、こういう現実があった、という情報発信ですね。


Mau: ろう運動というのは・・・無知ですみません。映画の中のお話ではなくて、実際に過去に日本で起こった運動のことが描かれているのですね。

Chie: すみませんでした、自分中心のお話になってしまいました。ろう運動というのは、現実の社会でずっと昔から続いている聴覚障害者の差別撤廃に向けた運動のことを、ろう運動と呼びます。古くさいものですが、全国の聴覚障害者団体はこうした運動がとても大切と熱く語ります。私はそれを否定しませんが、どうも何かが違うなという立場です。
それは置いといて、こうしたろう運動の歴史が、映画の中にも出てきて、映画を通して運動の存在を示していました。同時に、聴こえないことによって起こる日常生活を示していました。


Mau: ますます自分の目で映画を見てみたくなりました。

Chie: まうさんとして、どんな風に受け止められるのか知りたくなりました。
聴こえない側で見てしまっているので、聴こえる人がどのような受け止め方をするのかとても興味深いです。
ぜひご感想を教えてください。

余談ですが、出演した若いろう男性、学生時代に一度話したことがある方でした。そのときは、「ふーん」とあまり興味を持たなかったので連絡先を聞いていませんでした。今思えば「しまった!あのときに連絡先を聞いておけばよかった!」と思うくらい映画の中ではまぁまぁ、かっこよく映っていました(笑)


Mau: 「まぁまぁかっこよく」ですか~?!(笑)
素敵なプチ情報ありがとうございます。一層映画を見るのが楽しみになりました。

Chie: ありがとうございます。

他の情報になりますが私の憧れのろう男性が、ハリウッド映画の「バベル」に出ていました。ほんの少しだけですが、嬉しかったです。


Mau: 日本人男性ですか?

Chie:はい。エキストラ出演ですが、顔アップです。ほんの数秒です。


Mau: まばたきも出来ませんね。

Chie: あはは(笑)。
映画について私の心境がうまく説明できずにすみません。でも、いろいろな意味でこの映画が影響を及ぼすことは間違いないと思います。


Mau: 考えるだけでなく実際にメッセージを持ってそれを信じて動くことによって、必ず何かが変わってくると思います。

Chie: 今まで、ろう者を取り上げた映画は見たことありますか?聴こえない人についてのドラマでもいいですし。

Mau:公開時には、監督の出身国であるメキシコに滞在中であったのにも関わらず見る機会のなかった「バベル」を昨日ようやく見ました。
残念ながらちえさんの憧れの男性は、どの方か分かりませんでした。今度教えて下さいね。

映画自体は考えていたものとは全く違うものでした。
見始めたときは、「どうしてこのシーンがあるのだろう?」と理解に苦しむ場面もいくつかありましたが、エンドロールが流れる頃にはそんなシーンは全く気にならなくなっていました。
映画とは、それを見るそれぞれの人の立ち位置で、大いに見え方が左右されるものだと思っていましたが、この映画でその思いを実感しました。

菊池凛子さん演じるろうの女子高生の描写は、日本人として、女性として少々行き過ぎている感はありました。
ただし映画全体を通して見たときに、そういった激しい描写は気にならなくなりました。誤解があるかもしれないと思いながらお伝えしますが、実際に行動として動く、動かない、頭の中で思っただけ・・という違いだけで、映画に登場する一種「特殊」な行動を取る人物の一人ひとりが、形に多少の違い、程度の違いはあれど私たち自身そのものではないかと思わされました。

聴こえない、聴こえるに関わらず人は意思を伝え合う言葉、考えることのできる脳、行動できる手足を持ち合わせているのに、そのどれもが時にどうしようもなくばらばらで、思い通りにならず、能力を持ちながらも思うように使うことのできない無力さに絶望することもあります。中でも最もつらいのは、今切実に足りないものがあって、必要なのは確かなことなのに、それが一体何なのかが分からない状態です。同時にその不完全さが人間だとも思えるのです。バベルの中の人物は、そういった脆くて繊細なところに生きている私たちをはっきり映し出しているように私には見えました。

映画を通して、鳥のように私たち自身をも場面に投入して上空から俯瞰することができます。
実際はこの人はこう考えているのに、どうして周りの人にはそれが伝わらないのだろうともどかしく思ったりします。簡単なことのように思えます。
でも、「実際はあなた方もあまり変わらない生活、自分という入れ物を活かしきれていない暮らしをしているのではないですか?」と映画に問われているようにも感じました。
決して明るい内容の映画ではありませんでしたが、住む場所、置かれている状況、立場、言語、人種等を全て取り払ったときに、残るものは何?あなたはどう思う?どうしたい?というメッセージを映画から受け取りました。こういう映画に出会うと、映画を作りたくなっちゃいますね(笑)。 

Chie:映画を見終わった後、そして清々しさの後は、私も映画を作りたくなりますね。
バベルはろう者たちの間でも話題になっていました。「あの役はやりすぎ〜」という声もあれば、
「今までメディアに出ていた、ろう者のかわいそうなイメージを覆してくれた」という声もありました。
また、字幕についても話題になりました(これについては、またの機会に触れたいと思います)。

バベルは2回映画館で見ましたが、なぜ神様は人間の言葉をばらばらにしたのか(バベルは、人間がバベルの塔を作って神様に会いたがったそうです)について、考えてみました。

上を見たい、自分のことや周りのこと以外、神様ばかり目を向けるのではなく、
周りの人をもっと見なさい、ということで「わざと言葉をばらばらにした」のかなという感想を持ちました。

でも1つの映画を見て、Mauさんからの感想を聞いたりすることによって考えさせられることが「映画の魅力」ですね!

何かに行き詰まったり、どうしようもないときは、映画を見てみよう!と思います。
みなさんの中でも良い映画がありましたら、ぜひ聞いてみたいですね。


♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆

新潟まつり。新潟は「涼しい夏」です♪
e0172983_2343988.jpg

にほんブログ村 教育ブログへ


にほんブログ村 介護ブログ 手話・点字へ


人気ブログランキングへ 
[PR]
by machi-life | 2009-08-07 23:07 | mau+chie life
<< 第26回(2009.08.14... 第24回(2009.7.31)... >>