聴こえないわたし 聴こえるわたし ~ことば&暮らし~

それぞれの「ことば」を「知ること」からはじめよう
by machi-life
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第16回(2009.06.06) “デフムービー”

「聴こえないわたし」と「聴こえるわたし」がブログをはじめた理由

    ① 聴こえる人から見た「暮らし」、聴こえない人から見た「暮らし」とは何かを知る。
    ② ふたつの「暮らし」の違いや共通点を発見し、相互理解に扶助する。
    ③ 改めて「暮らし」について考えることで、わたしたちが毎日をシンプルにかつ豊かに
      送るための手法を探る。

"聴こえないわたし”-Chie
東京ディズニーランドオープンの年に誕生。手話講師
趣味は、写真、読書、映画鑑賞、ゴルフ

"聴こえるわたし”-Mau
“Imagine”が発表された年に誕生。英会話・スペイン語会話講師
旅、自転車、食べることが好き 

♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆  ♪  ☆

Chie: こんにちは、週末の長野県はいかがでしたでしょうか?

Mau: ありがとうございます、気分転換になりました、まさに心の洗濯でした。
松本市から特急で名古屋まで2時間ちょっとなんですね。

Chie: 心の洗濯!本当に良かったです。
松本市からだったら、近いですね。名古屋まで行かれましたか?


Mau: そこまでの時間はありませんでした~残念です。
新潟から名古屋へは、バスが良さそうですね。

Chie: バスでしたら7時間はかかると思います。特急でしたら、新潟〜金沢〜長野〜松本〜名古屋、という順で、もっと時間かかりますね。松本市へは車ですか?

Mau: はい車で行きました。善光寺経由でゆっくり行ったので10時間ぐらいかかってますね。
松本では大学の時の、友達二人と会いましたが、その内の一人とはかれこれ17年ぶり??でした。
恐ろしく年月が流れていうますね。

二人は海外の映画をコーディネイトする仕事と石器の図面を書く仕事という面白い仕事に就いています。
そういう仕事もあるんだな~と目から鱗が落ちました。
あちらからしてみたら、大学を中退した私が英語を教えてるのもびっくりだと思いますが。

Chie: 大学中退されたんですか?初耳です(笑)

芸術はおもしろそうですね!映画関係とはどのような仕事でしょうか?石器の図面も気になりますね。


Mau: 一度目の大学の話ですね。これはまた後ほどお話しますね。
映画の仕事をしている友人は、菊池凛子さんの映画にも関わっていて、先日カンヌ映画祭へ行ってきたそうです♪ 

Chie: すごい!!憧れますね!!

本当に興味深い出会いをされて、とても良い思い出になったんですね。
菊池凛子さんといえば、「バベル」ですね。 そういえば、まうさんは「バベル」を観たことありますか?


Mau: スペイン語版のDVDをメキシコで買ったので、どこかにあると思うのですが・・・観ないままになっています。ちえさんの好きな映画ですか?今度、真剣に探してみます。

Chie: 不思議な映画の一つになっています。手話、ろう者が主人公の日本舞台、そして人種差別がテーマのメキシコ、貧しい生活の中で生きる一つの家族を映したモロッコ、3つの国々の舞台が「バベル」の映画を成り立たせている、不思議な映画です。

当時、日本国内ではろう者たちが「ろう者のイメージが悪くなるから上映をやめてほしい」という反対の声と、「ハリウッド映画なのに、字幕がつかないなんておかしい」と日本語字幕付けにアクションを起こした話を聞きました。
ぜひDVD見てみてください。


Mau: どこかに問題になるシーンがあって、「ろう者のイメージが悪くなる」という声が上がったんですか?

Chie: 菊池さんが演じたろう者は、男性を誘惑するような挑発を連発していました。

私から見れば、ハリウッド映画なら当たり前だし、シャロンストーン主演の「氷の微笑」と似ているからあまり気にならなかったです。国内のドラマでは「ろう者はかわいそう」という、泣く役が多かった為、 返って、かわいそうなイメージを払拭できるんじゃないかと思っていました。でも菊池さんが演じたことによって「ろう者は軽い女」というイメージを持たれるのは不愉快、という意見があったみたいです。


Mau: そんな!ある映画で演じられている日本人のろう者役がそうだったからといって、ろう者の女性が全て軽いと信じてしまう人がどのくらいいるというのでしょう。うーん、いろんな見方がありますね。

他にも、ろう者が出ている、または中心になって作られている映画はありますか?ろう者の監督とか?

Chie: ドキュメンタリー映画もあります。私が知っている人の中には、ろう者と難聴者の学生生活のドキュメンタリーを製作した今村彩子さんという方がいます。

彼女はアメリカへ留学した後、いくつかのドキュメンタリーを作っており、
ハンズの事務所にも1枚のDVDがあります。


Mau: わあ、それは初耳です。どんなドキュメンタリーか興味がありますね。

Chie:今村彩子さんは確か、2つか3つ年上です。 アメリカ手話の講師としてやっていた時期もありました。 大学生活を知るには参考になるDVDです。講義保障や普段の食事やスポーツをしている場面もあります。

他には、PRODIAというのがあります。これは私もよく知らないのですが、「迂路」は評判になっていました。

新潟出身で韓国の大学院に留学しているろう者がいるのですが、彼女が関わりを持っている韓国のろう者チームがあります。

http://www.prodia.jp/deafmedia.html

映画好きの聴こえない人は多いですね。
視覚的に楽しめるからだと思いますが、聴こえる人の中にも映画を娯楽として楽しむ人は多いですよね

また、アメリカには世界で初めてろう者が集う総合大学(ギャローデット大学)ではこのような大きなイベントも行われていると留学生から聞いたことがあります。学長さんが、聴者(または、ろう者の意見を聞かない難聴者)であることが決まったとき、学内でデモを起こしたという話は、手話の世界では有名になっています。
一つの場に集うと大きなパワーになるのと同じように、国際ろう映画祭も関係者が集まって盛大に行われるのかもしれないですね。


Mau: ひゃあ・・・驚きです。存在しているのに今まで知らなかった世界の扉に気づいた気持ちです。
”デフ・ムービー”。 これから海外に行くときや海外の人と関わるときのアンテナが増えました。ありがとうございます。

Chie: ちなみに韓国には、ろう者が運営しているカフェもあります。

運営主体や細かいことまではまだ情報不足で分からないですけど、そのカフェにはなぜか、メニューに3通りの金額が載っていて聴こえない人、支援をする人、聴こえる人という3通りに分かれて金額が多少異なっていました。なぜ分ける必要があるのかという点においては、韓国手話と韓国語が未発達の私にとって心の中に留めておくしかできず


Mau: ちえさんが実際に行かれたカフェなんですね!日本にもあるようですがhttp://osaka.yomiuri.co.jp/possibility/news/ps80118a.htm
こういった感じとは違うのでしょうね。

そこはろう者の方が中心になって運営されているようですね。

Chie: 大阪にもありますね、行ったことはないですが少し雰囲気が異なりますね。韓国のカフェではDVDを大画面で楽しめるようなスペースもありました。ろう者のスタッフが多かったですが、もしかしたら会社を運営すること自体は聴こえる人が中心になっている可能性もありますし、その辺りについてはまだ分からないです。

Mau: 現在はどうでしょう?ちえさんはこういったカフェの運営には興味はありますか?

Chie:ベトナムでは知的障害を持っている就業員を雇っているカフェがありました(ホーチミン市、日本人の女性が起業)。パリにも、ろう者のカフェを開いたというニュースを聞いたことがありますので興味はあります。

東京もバーはあったのですが、今は閉鎖(?)になっていると思います。


Mau: いろいろと調べられたり、行かれたりしていますね。
ろう者の店員がいる・・・というよりも手話のできるスタッフがいるところに、居心地の良さを感じますか?

Chie: つながりがつながりを呼んだようなものですね。最初からカフェに興味を持ったわけではなかったですが、いつの間にか情報が入ってきたりした感じです。ただ、どれも半端な情報なので、調べなきゃ〜と思っています。

手話のできるスタッフがいるところは居心地が良いです。スタバに手話が少しだけできるスタッフがいたのですが、注文しやすいだけでなく、安心感があります。
向こうはこちらが聴こえないことを知っている、ということから来る安心感なのかな・・・。


Mau: そうですよね、たとえ「いらっしゃいませ」「寒いですね?」など簡単な手話でもできて、会話ができると安心・・・居心地はぐっと良くなりますね。

Chie: そうですね。高度なレベルは求めていないですし、普通に「今日はこの珈琲が良いですよ」といった会話ができたらもっといいですね。

Mau: 私も商店街の中で手話を使えるお店があったら!という気持ちもあって、月に2回、教室で手話レッスンをしてもらっていますが、なかなか広めるのは難しいです。

Chie: どういう風に難しそうですか?

Mau: 手話レッスンを始める前に、商店街の方々にチラシを配って歩きました。
予想していたことですが、ほとんどの方は、「うち、ろう者の人は来ないから!」と言って相手にしてくれませんでした。

「全く聴こえていない人は、補聴器はしていないので、外見ではわからないんです」というお話もしてみましたが。

そんな中で、いくつか興味を持ってくださるお店もありました。
残念ながら、商店街でお店を構えていらっしゃる方々は、ほぼ一人又は二人という体制で商売をされているので、日中出かけてまで手話を習うことは難しい・・・ということでした。

でもどうにか皆さんの中に入っていけないかな~って密かに策を練っています。

Chie: 聴こえない人は、聴こえるフリをするので気がつかない店員さんが多いのも真実ですね。

Mau: 聴こえる「ふり」ですか?

Chie: 聴こえるフリをすることで、迷惑をかけず、面倒なことも起こさず、というようにスーッと立ち去るということです。

Mau: 分かる気がします。

Chie: そうすれば、外見だけでは本当に分からないです。
全ての人に対しては難しく、時間がないときは筆談で済ませることがあります。
聴こえない人が聴こえるフリをやめたら、手話は急遽広がっていくかもしれないですね。


Mau: やってみますか??
余談ですが、聴こえる人も、聴こえないふりをしまけどね~(笑)。

聴こえない人が、聴こえる人たちに合わせて生活をしていると感じることはありますか?

Chie: 聴こえる人も聴こえないフリをするんですね、それは「そんな話は聞いとらんぞ~」と言うときにでしょうか?

聴こえない人が、聴こえる人たちに合わせて生活をしていると感じることはあります。
愛想笑いが一番分かりやすいと思います。


Mau: 聴こえる人も聴こえないフリをする時は、大抵都合の悪い話をされた時です。
聴かなかったことにしてしまうんです。

Chie: 聴かなかったことにする、それは聴こえない人も共通することで結局は人間の身勝手ということになると思います。

私自身も身勝手だと思います。聴こえる人のグループに聴こえない人が1人だけ入った時、聴こえる人たちが笑い合います。

話題はテレビの話だったり、旅行の話。
早口で、笑うときは手を覆う。
口の形の読み取りすらできない状況になります。

そして聴こえる人たちが「~だよね」とこちらに目を合わせるとその場で「いや、何のことか分からなかったらもう一度教えて」と言えるかどうか。

その回数が多ければ多いほど、聴こえる人たちの気分を害するわけにはいかないということから、 愛想笑いをして何とかその場をしのぐ。
私が時々、目をそらしたりするのは、愛想笑いする状況を作らないようにしているからです。

それは自分の為なのですが、聴こえる人たちと一緒に過ごすことは苦痛ですが、楽しい時間でもあります。
難しいですね。


Mau: 視線を逸らするのは  あえて「いまは聴いてないよ」というシグナルを送るということでしょうか?

Chie: そうですね。聴いていないことを示すことによって会話の輪から外れているということを知らせておくようなものです。
でもそういう行動に、「あの人は人の話をちゃんと聞いていない」という誤解も生じます。

聴いているフリをして分からないまま過ごすのと、思い切ってその場の雰囲気を壊してもいいから聞き出すのと、最初から聴いていないよというシグナルを送ることで自分を守る・・・いろいろ試している感じです。


Mau: それでいいんじゃないかな~。

変てこな言い方ですが、聴こえていても目の前にいる人が何を言っているのかさっぱり分からない、聴こえてこないときはあります。でも与えられた時間を過ごさなければいけないときには、私も流してしまいますし、自然と視線は逸れます。

時には、かなり興味深い話なのだけれど、内容が分からない。けれどどうしても知りたいなら、周りのひんしゅくを覚悟で聞くこともありますし、最初から聞いてませーんシグナルを送る相手も・・・?たまーにいますね。

昔は、「なんてひどいやつだ!」と自分を責めたこともありますが、力は入れたり引っ込めたり上手に使わないと。

本当に「聴きたい」ときや「話したい」ときには、お互いにどうにかするんだと思ってます。

Chie: ありがとうございます。まうさんのお話を聞いて何だか安心というか、ホッとしました。
このように聴こえる立場にあるまうさんからの話、とても参考になります。


確かに、本当にお互いに「聴きたい」「話したい」ときは何としてでも通じ合いたいと工夫をしますね。

Mau: 「愛」ですね うふ。

Chie: なるほど!シンプルな言葉ですが、重みがありますね。

力は入れたり引っ込めたり、、、何でもがんばりすぎるのが一番いけないですね。


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Studio AYA
http://www.rouinc.com/studioaya/

映画 「バベル」

PRODIA デフムービーエンターテインメント・プロディア
http://www.prodia.jp/
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by machi-life | 2009-06-05 23:08 | mau+chie life
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